イプシロンS第2段の燃焼試験が再び失敗、前回より低い圧力でなぜ爆発した?
マイナビニュース / 2024年11月27日 19時49分
センサーによる計測は、前回の約170点から約200点に強化されている。データは大量にあり、評価は「1~2週間かかる」(井元プロマネ)見込みだが、これも今後、FTA(故障の木解析)で原因の特定を進める上で貢献するだろう。
前回の原因推定は正しかったのか?
以上が現時点で分かっていることであるが、今回の爆発で考えられる疑問点は以下の2つに集約されるだろう。
なぜ燃焼圧力が予測より高くなっていったのか
なぜ最大使用圧力以下なのに爆発したのか
前回の爆発では、前述のように、イグブースタの溶融物が断熱材を損傷させ、そこで予想外の燃焼が発生し、燃焼面積が拡大したことで、圧力が上昇。この異常燃焼によってモーターケースが予想外の高温にさらされ、これで強度が低下、圧力に耐えられなくなって爆発した、と推定された。
しかし今回は、その対策として、イグブースタは溶けないようにしたはず。もちろん、それでも溶けてしまって同じ現象が起きた可能性もあるものの、もしそうでなかったとしたら、話はかなり複雑になる。そもそも、燃焼圧力の予測は正しかったのか、ということになってくると、前回の原因推定が間違っていた可能性すら出てくる。
今回使用した第2段モーターであるが、前回からの変更点はイグナイタ部分だけで、モーターケース、推進剤、断熱材などについては、同じだったという。製造ミスなど今回特有の問題だったり、イグナイタの変更点で新たに発生した問題だったりすれば、見通しは立ちやすいが、設計自体に踏み込むような話になると、長期化する恐れがある。
さらに、再々試験をどこでやるのか、という問題もある。もともと使っていた能代ロケット実験場の真空燃焼試験棟は、爆発により大破。種子島宇宙センターの設備も破損しており、復旧には最低でも「数カ月かかる可能性がある」(同)という。
E-21の規模であれば、能代ロケット実験場の大気燃焼試験棟を使うことも可能ではあるものの、能代は敷地面積が狭く、十分な保安距離が確保できないため、もしこれを使うとなると、爆発しても安全であるように、追加の対策が必要になる。
ただ、種子島宇宙センターのテストスタンドは屋外にあるため、屋内で実施して建屋を大破した能代に比べれば、被害は限定的なはずだ。これらを総合的に考えれば、次回も種子島宇宙センターで実施する可能性が高いのではないだろうか。
厳しくなった2024年度内の打ち上げ
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