1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

「歩く」を楽しむ社会に、動力不要で人の歩きを支援する機構を名工大などが開発

マイナビニュース / 2024年12月25日 7時30分

また「こんな弱い力で(支援できるということは)、普通は考えにくい。レバレッジが効いている」(佐野教授)とのことで、モーターやバッテリーといった力任せでの技術ではなく、弱い力でもレバレッジを効かせることで、人の動きを活性化することができる点を最大の特徴と表現。この原理の発見について、「装置だけで生み出した効果ではなく、人間の作用を引き出した結果」であり、人間が歩くという行為は、相互作用が結集したものであり、その作用のチャンネルが多数にあり、そこに稲穂型歩行支援機がうまく入り込んで人の作用を引き出すことで、意識せずに歩行の支援を実現しているのではないか、としつつも、なぜその作用をうまく引き出しているかは、まだ完全には分かっていないとするが、人が歩く、という大前提のベースラインに沿っているからこそ、違和感を生じさせない機構となっているとの見方を示す。
自分の力で歩く楽しさを支援

稲穂型歩行支援機は、歩く人そのものの歩き方が極端に変わることもなく、自然と自分の歩き方を支援してくれるために、自分で歩いているという意識を強めてくれる存在となりうる。「ウォーキングイベントとか、一駅分くらいの長い距離を歩いて、その帰り道によく歩けたなぁ、といった思いがでる。しっかり歩けたという経験は、まだまだ年をとっても動けるという自信につながる。障害を持つ人も、高齢の人も、意外に歩けたという気持ちを持てるようになる。こうした、普段、なかなか歩こうと思わない距離をしっかりと自分の力で歩けたと思えるようになるのは1つの価値になるのではないか」と、なんらかの力で強制的に出しにくい足を前に出してもらうという動きとは異なる優しい動きがもたらす価値を佐野教授は語る。

また、開発に当たってはACSIVE時代から協力してきた名古屋市総合リハビリテーション事業団 企画研究局企画研究部 主幹(ロボット等開発・普及)の鈴木光久氏は「上下運動のテンポということで、メトロノーム的な存在と思われるが、オーケストラの指揮者といったイメージの方が近いかもしれない。さまざまな感覚や筋骨格が複雑に作用して歩行がなされていく中で、稲穂型歩行支援機がうまく指揮を執ってくれることで、長時間にわたる歩行を可能となる。しかも指揮者の指示に身体が従うというのではなく、身体から離れている場所にあるからこそ、あくまで指揮者が媒体という立場で、オーケストラ(身体)が自発的に動いているという印象」だと、稲穂型歩行支援機と歩行者の関係性を表現。“歩く”というライブを歩行者と稲穂型歩行支援機がセッションを通じて互いに連携していくことで、それぞれの個々の力が相乗的に伸びて、歩きやすい環境が構築できるのではないかと、あくまで稲穂型歩行支援機が主の存在ではなく、歩行者に寄り添う存在であるとする。
より多くの人に歩く楽しさを感じてもらいたい

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください