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『全領域異常解決室』“神”ドラマを成立させた構成の妙 納得をもたせる脚本と映像センスで応えた演出陣

マイナビニュース / 2024年12月19日 6時0分

しかし、そこから予想を大きく覆すとんでもない動きを見せたのが、第5話だ。“千里眼(遠くの出来事を感知する能力)”を持つ少女を登場させて“神”の存在をほのめかし、次の第6話では主人公までもが、まさかの“神”であることが判明。続く第7話では、視聴者目線であるはずのバディまでもが“神”だったことが明かされ、「全決」メンバー全員が“神”であるという、前代未聞の「神ドラマ」であることがようやく提示されたのだ。

以降は終盤にかけて、神と神との抗争、はたまた人間と神との攻防という壮大過ぎる展開を見せ、最終回では、呪術が当たり前に飛び交うまるで戦隊モノかのような映像ギミックまで見せてくれた。

もし初回から神たちが登場し、呪術が飛び交うドラマとしてスタートしていたならば、多くの視聴者がふるいにかけられ、ただのトリッキーで色物のドラマと思われていただろう。しかし今作は、序盤によくあるちょっと変わった設定の刑事ドラマと“見せかけ”て誘導し、それが後半の“深み”にもつながり、誰も見たことのないドラマでありながらでも、多くの視聴者を没入させることに成功させたのだ。

○視聴者を“論破”してくれる黒岩勉氏の筆致

そんな“構成の妙”とともに、今作を絵空事の“ありえない話”にさせなかったのは、脚本の黒岩勉氏によるものが大きい。黒岩氏は連ドラデビューとなった『LIAR GAME Season 2』(フジ)を皮切りにその劇場版や、転機となったスマッシュヒット作の『僕のヤバイ妻』(カンテレ)、最近では『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS)や『グランメゾン東京』(同)なども手がける超ヒットメーカーである。

黒岩氏の特徴を一つ挙げるとするなら、“辻褄合わせの巧者”だ。例えば、氏が手がけた100年以上も昔の原作を現代版に置き換えた『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-』(フジ)や、架空の“殺人球菌”をテーマにした『グレイトギフト』(テレビ朝日)などからも分かるように、どんなに突拍子もない設定や、難解で入り組んだテーマを用いたとしても、視聴者が納得でき得るだけのエピソードを配し、我々を見事に“論破”してくれる脚本家なのだ。

その手腕が今作にもいかんなく発揮され、「神が登場する」という、どこをどう辻褄を合わせればいいのか分からない超難問テーマであるにもかかわらず、視聴者を大いに納得させるストーリーテリングだった。また最終回のキーアイテムにもなった、首元に貼ることでその人物を操ることができる「呪符」など、神にまつわる複雑な設定は、作り込めば作り込むほど綻びが出てきそうなのだが、視聴者を寄せ付けない難解さではなく、複雑で分からないからこそ楽しめる“深み”として昇華させた。

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