宮城県加美農業高校で農薬散布などドローンを使った実習を実施 - スマート農業による地域活性化を狙う
マイナビニュース / 2025年1月7日 13時0分
「スマート農業の活用という課題研究で、ドローンについてもある程度は学んでいた」という生徒たち。中には実際にドローンを趣味として所有しているという生徒もいるなど、実習以前からドローンに対する興味・関心は高かったが、実習の話を聞いた際は、「実際に何ができるかまでは調べられていなかったので、(実習が行われることに)驚いたのと同時に、非常に楽しみでもありました」と当時を振り返る。
そして、実際の実習では「想像以上の機動力」や「動噴(動力噴霧器)でよりも1/7の時間で散布できる効率性」を体感し、「ドローンを使うことによって、燃料、人員、そして時間も削減できるので、スマート農業の実現には非常に貴重な存在」であることを認識。低コストであることに加えて、その安全性についても高く評価する。
ドローンの活用をはじめとするスマート農業について、高校卒業後に就農を予定している生徒は、「積極的に取り入れていきたい」と目を輝かしつつ、高齢者が多い現状においても、「高いところの作業などでは、はしごの昇り降りなど危ないこともけっこう多いのですが、スマート農業であれば、スマートフォン1台で水の管理などができるので、安全面でも大きな意味がある」と話す。「現在は物価の高騰などもありますが、機材の価格がもっと下がれば、導入のハードルも下がるのではないか」と今後の展開に期待を寄せた。
○■高校だけでなく町全体の課題として
「今回、これからの農業を背負っていく生徒たちに、ドローンの魅力を伝えられたことは非常に大きい」という遠藤先生だが、「実際に今、農業をされている方々へ魅力を伝え、認知度を高めていくことが喫緊の課題」と指摘する。
佐伯先生も「取り入れてみたいという方も多い一方で、なかなか受け入れられないというハードルもある。その差を縮めていく取り組みを、地域の方々と連携しながら、学校現場から広めていくことが求められている」と、学校が地域との橋渡しのような存在になる必要性を言及。「これから農業を担っていく生徒たちは、すでに新しい技術が身近にあり、それを活用していこうという意識もあるので、実はあまり問題がない。一方で、長年農業に携わってきた方の固定概念をいかに変えていけるか。時間は掛かるかもしれませんが、そこが重要だと思っています」と、現在の農業が抱える課題を示す。
実際今回も、学校現場だけでなく、地域を巻き込んでの実習が計画はされていたが、「なかなかタイミングをあわせるのが難しく、周知を含めて、うまく広げられなかった」と振り返る。「実際にドローンでの作業を見せれば、作業効率の良さなど、そのメリットや魅力を感じさせることはできるはず」と前置きしつつ、「農家の方を納得させるためには、機材コストや操作するための資格など、見えていない部分のほうが重要になる」と佐伯先生。「我々もそこをしっかり見据えて、農家の方が納得できるような仕組みを作らなければならない」と今後の課題を示す。
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