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74歳の経理担当者の作業が105時間→10時間に、kintoneで「介護DX」に挑むLILE THE STYLE

マイナビニュース / 2024年12月25日 9時0分

そこで「出庫記録」という業務をデジタルで実現するアプリを開発した。同社では、入居者や利用者が必要とする日用品を業者から取り寄せ、施設内で販売している。これまでは、在庫や販売記録をノートに書き留めていたのだが、これをデジタルに置き換えた。

「誰が誰にいつ何を販売したかが分かることに加えて、在庫管理や月末の集計も効率化できる。『一石三鳥のアプリだ』と満を持して社員に向けて公開した」と谷川氏。キックオフミーティングも実施し、kintoneの本格運用を行う目的や未来のビジョンを共有し、「出庫記録アプリ」の使い方もレクチャーした。

しかし、社員の8割はアプリを使い始めることはなかった。「紙の方が楽だし早い」「使い方が難しい」「私はやり方を変えません」といった声は少なくなく、谷川氏は落胆した。介護業界の平均年齢は高齢化しており、ITに不慣れな人も多い。「『退職しても次がある』という雰囲気も感じられ、新しいことにチャレンジしにくい風土だった」と谷川氏は振り返る。

プロジェクトチームは、再び作戦会議を実施。とにかくまずはkintoneに触ってもらうことが大事。そこで、バーコードやQRコード、音声入力を駆使して使い方を簡単にし、スマートフォンやタブレット、PCの増設で環境の整備も進めた。現場の至るところにデバイスを設置し、物理的に入力できる機会を増やした。「これで使ってくれるはずだ……」(谷川氏)

しかし、それでも使ってもらえなかった。なぜか。

答えは、現場との対話から見つかった。現場の社員との対話を通じて「目的のアプリにたどり着けない」「入力する品目の種類が多く探すのが大変」と、使ってみようという気持ちはあったが、入力が難しくて諦めていたことが分かった。「『使いやすさ』の答えは、開発者ではなく、現場のスタッフが知っているということに気づかされた」(谷川氏)

現場からのフィードバックをもとにアプリを改良した。毎日使うアプリは一番上の目立つところに配置し、社員が目的のアプリにたどり着けるようにした。また、出庫記録アプリでは、入居者の情報を入力すると、その入居者が頻繁に購入する品目順に表示するようにした。

「われわれ開発者の『使いやすさ』は、データを多くためて後の作業を楽にすることだったが、現場スタッフの『使いやすさ』は、すぐにアプリにアクセスできることや、1回の作業で完了することだった。このアプリは誰が使うものなのかという視点が抜けていた」(谷川氏)
ITに不慣れな社員に対しては「徹底的に伴走」

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