74歳の経理担当者の作業が105時間→10時間に、kintoneで「介護DX」に挑むLILE THE STYLE
マイナビニュース / 2024年12月25日 9時0分
こうした施策により、kintoneの利用率は8割まで向上した。残り2割を巻き込んで、全員に活用してもらうためにはどうすればいいのか。谷川氏は頭を悩ませた。
悩み抜いた末、谷川氏が出した答えは「徹底的に伴走すること」。kintoneをうまく使えない社員の隣にプロジェクトチームの一員の席を配置し、常に使い方を教えられる環境を作った。「できないことができるようになった」という社員の成功体験を増やすことで、kintone活用をさらに加速させていった。
入居者管理アプリでは、入居者に関するさまざまな情報を一元管理できるようにした。Excelデータに加えて、施設で起こった出来事を写真や動画として管理し、ヒヤリハット事故やクレームの報告も社員間で共有できるようにした。
「過去の記録から入居者に対してどういったことに気を付けるべきかが誰でもわかるようになった。今まで管理者が1人で行っていた業務をアプリ化することで、業務の属人化もなくなった」と谷川氏は笑顔を見せた。
2年でアプリを30個開発! 請求作業は105時間→10時間に
kintoneを軸とした介護DXプロダクトを2年間推進してきた結果、売上は2倍になり、施設は満床、待機待ち状態になった。また、業務改革が進んだことが功を奏し、辞めた従業員3人が帰ってきたことに加えて、社員が知り合いを紹介し5人の採用にもつながった。
さらに、2年前に約38時間だった総残業時間はほぼなくなり、一人あたりの生産性は格段に上がった。2年間で作ったアプリは30個で「kintoneが会社の風土を変えた」(谷川氏)という。
1カ月あたりの作業時間を95時間削減した事例もある。74歳の経理担当者の事例だ。介護施設の請求書は複雑で、入居費用のほか、介護・医療保険といった明細、施設での販売、食事キャンセル、立替金などさまざまな情報の連携が必要だ。
これらすべての情報をkintone上でひも付け、請求データを自動で生成できるようにしたことで、1カ月あたり105時間かかっていた作業時間を10時間まで削減することに成功したという。
「デジタル化は苦手だと言っていた社員が、アプリを積極的に作ったり、データ化した情報を共有したりして、今ではすっかりデジタル化を楽しめるようになった。介護業界のDXは難しく、乗り越えるべき壁は高い。これからもkintoneを通じて介護DXを推進し、介護業界を変えていきたい」(谷川氏)
(早川竜太)
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