1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

輸送と実験の“二刀流”!? 攻めた設計の新型補給機「HTV-X」を見た

マイナビニュース / 2024年12月30日 17時0分

画像提供:マイナビニュース

三菱電機と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月10日、三菱電機の鎌倉製作所にて、新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」のサービスモジュールを報道公開した。HTV-Xは、「こうのとり」(HTV)の後継機として開発が進められている無人補給機。打ち上げはH3ロケットの24W形態を使い、初フライトは2025年度に行われる予定だ。

新型機「HTV-X」ではなにが変わった?

国際宇宙ステーション(ISS)への物資の輸送を担うため、日本が開発したのが「こうのとり」(HTV)である。初号機の打ち上げは2009年に実施。以降、計9回のミッション全てに成功し、役割を果たした。そのHTVは、2020年の9号機で終了。後継機となるHTV-Xは、ISSへの補給ミッションを引き継ぎつつ、新たな役割も担う計画だ。

HTV-Xの大きさは、全長が約8m、直径が約4.4m。打ち上げ時重量は、約16トンだ。従来のHTVと規模感は近いものの、その構成は大きく変わっており、輸送能力や運用性が強化されている。

HTVは、上から、与圧部、非与圧部、電気モジュール、推進モジュールという4モジュール構成だったのに対し、HTV-Xは、与圧部以外の機能をサービスモジュール(SM)に集約。その下に与圧モジュール(PM)を繋げる2モジュール構成となった。開発は、サービスモジュールを三菱電機、与圧モジュールを三菱重工が担当した。

HTVの外観の大きな特徴は、大きな開口部がある非与圧部だったが、HTV-Xでは、サービスモジュールの天板に曝露カーゴの搭載部を用意。機体の最上部に配置したことで、フェアリング内の空間を搭載スペースとして最大限利用できるようになり、従来より大型の機器を運べるようになった。

HTVは、重量のある与圧部が一番上になる配置だったため、大きな開口部のある非与圧部でその荷重を支えるという難しい設計が必要だったのだが、HTV-Xではそれを最下部に変更。これにより、サービスモジュールは構造の軽量化が可能となった。従来に比べると、より合理的な配置だと言えるだろう。

ただ、上に曝露カーゴ、下に与圧モジュールという配置は合理的ではあるものの、そうなると、従来最下部にあったメインエンジンの置き場所がなくなってしまう。しかしHTV-Xは、RCSスラスタが従来のメインエンジンの役割も担うことでこれを解決し、メインエンジンを不要とした。

与圧モジュールは、HTVの与圧部の設計を活用。同様に、間口の広いハッチが用意されており、実験ラックなど大型の船内物資の輸送が可能という、HTVの特徴を引き継ぐ。なおHTV-Xでは、与圧モジュールに電源供給機能を追加。冷凍庫などを搭載し、温度管理が必要な実験サンプルを輸送することも可能となった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください