大河原克行のNewsInsight 第346回 家電リサイクルの国内最先端、栃木の関東エコリサイクルを見てきた
マイナビニュース / 2025年1月2日 23時11分
「以前は、少量であったためそのまま廃棄したり、破砕したりしていたが、再商品化率の向上を目的に、日立製作所と日立GLSとの連携によって開発したガラス扉の分離装置を2022年に導入。2023年にはガラス板の研磨装置を導入した」(関東エコリサイクル 取締役社長の松本弘樹氏)という。
分離装置は、押し切り切断方式を採用し、ガラス板の破損を抑制しながら自動で分離できるのが特徴で、短時間で安定したガラスの回収が可能になっている。また、研磨装置は回収したガラス板に塗料などが付着し、ガラス素材として再資源化することが困難であった問題を解決するもので、ガラス板を研磨することで付着したウレタンや塗料などを除去。ガラス素材としての水平リサイクルが可能になり、分離したガラス板の用途を広げることができたという。
エアコンでは、室外機と室内機の2つの解体ラインを持ち、室外機は冷媒フロンを回収する作業を行うほか、熱交換器、ファンモーター、コンプレッサ、銅パイプを回収する。コンプレッサは切断機を使い、中のモーターを解体し、銅線を回収する作業も行っている。室内機は、セル解体方式を採用し、1人が1台ずつ解体する仕組みにしている。
「近年は、お掃除ロボットが搭載されるモデルが登場し、機種ごとに解体の作業量が大きく異なっている。室内機をセル解体とすることで、1台ごとの作業量の差を吸収して、効率性を高めている」という。
手作業解体工程で分別された部品などは、中2階を通って、破砕・選別工程に送られて、粉砕機に投入される。
破砕工程は、冷蔵庫専用ラインと、テレビ、洗濯機、エアコンの3つをまとめて行う2つのラインで構成している。いずれも作業の流れは同じだが、冷蔵庫専用の破砕機は国内のリサイクルプラントのなかでも最大級のものが導入されているという。
「テレビや洗濯機、エアコンを破砕すると、金属が多く、破砕する際に、火花が出やすい。それに対して、冷蔵庫はウレタンを含んでいるため、燃えやすいという特徴がある。そのため、冷蔵庫の粉砕機と、それ以外の家電向けの粉砕機に分けている」という。
破砕したものは、磁力選別装置を使って鉄を回収。渦電流選別機では非鉄を回収し、色彩選別機で銅とアルミに選別する。また、カラム式風力選別装置を利用して、ミックスメタルとミックスプラスチックを取り出し、ミックスプラスチックについては、2024年4月から稼働した浮沈選別装置で、水に浮くPP(ポリプロピレン)と、水に沈むPS(ポリスチレン)やABS樹脂などに分け、家電に再利用することになる。
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