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大河原克行のNewsInsight 第346回 家電リサイクルの国内最先端、栃木の関東エコリサイクルを見てきた

マイナビニュース / 2025年1月2日 23時11分

浮沈選別装置は、ミックスプラスチック選別装置のひとつで、湿式粉砕機、ろ過装置、脱水機との組み合わせで、ミックスプラスチックを選別する。浮沈選別装置で選別したあとに、湿式粉砕機で選別したポリプロピレンを粉砕し、粒の大きさなどの調整を行い、細粒化するとともに、表面を洗浄して汚れを取り品質を向上させるという。

ミックスプラスチック選別装置の導入により、2024年度のポリプロピレンの生産量は、前年比で約2倍を計画。2024年度中には新たな設備拡充も予定しており、再生プラスチックの生産量をさらに拡大していく予定だという。

また、関東エコリサイクルセンターでは、安全対策に力を注いでいることも強調した。

建屋内に、集中監視室を設置し、設備監視システムにより、各設備の稼働状況や機内温度、電流、風速、CO2濃度などをモニタリング。異常を検出した際には、非常停止や各設備の消火散水なども行う。

リサイクル工場内には、約100カ所の監視カメラを設置し、1カ月間のデータを録画。集中監視室内にある8画面で構成された大型監視モニターで、搬送設備の安定稼働や、作業者に不安全な行動が起きていないかどうかを確認しているという。異常が見られた場合や作業に遅れが生じている場合などには、各現場に無線連絡を行い、迅速に対応する。録画データを使った不具合の原因究明や対策立案も行っている。

設置している監視カメラのなかでも、火災のリスクが高い15カ所には、AI火災検知を導入し、煙や炎を検知した場合には発報し、迅速な初期消火が行えるようにしている。

さらに、停電散水システムを導入し、設定時間内に停電が復旧しない場合には、破砕機と、その前後の搬送工程において、バックアップ電源を使用した自動散水を行う。火災のリスクを低減するための仕組みとなっている。

関東エコリサイクルセンターでは、リサイクル処理を行った家電の総重量に対して、有価で出荷した重量比率を示す「再商品化率」と、リサイクル処理を行った家電の総重量に対して、資源として再利用できた比率を示す「再資源化率」の指標を重視している。

再商品化率は、製品ごとに法定値があり、これを上回ることが前提となる。

冷蔵庫(冷凍庫を含む)の法定値は70%以上であるのに対して、関東エコリサイクルセンターでは2023年度実績で81%を達成。同様に薄型テレビは74%以上に対して85%、ブラウン管テレビは55%以上に対して76%、洗濯機(衣類乾燥機を含む)は82%以上に対して91%、エアコンは80%以上に対して93%と、いずれも10ポイント前後上回っている。

また、再資源化率では、冷蔵庫、テレビ、洗濯機、エアコンのいずれもが、2023年度実績で99%を達成しているという。

関東エコリサイクルの松本弘樹社長は、「日立製作所や日立GLSと連携し、独自の装置を導入している点が大きな特徴である。たとえば、冷蔵庫のガラスの再生において、ガラスとしてそのまま商品化できるところまで踏み込んでいるのは当社だけである。日立グループが持つ技術力を生かしたものであり、技術力では負けない。今後も、再生した材料の品質や品位を高め、家電製品に再利用するために、どんな貢献ができるかを追求していきたい」と語る。

循環型モノづくりを通じて、サステナブルな社会の実現に向けた関東エコリサイクルの取り組みは、独自の技術力を生かすことが、これからも進化を続けることになりそうだ。
(大河原克行)



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