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藤井聡太、佐々木勇気という存在 竜王戦第5局を考察する

マイナビニュース / 2025年1月10日 11時30分

―棋士は佐々木八段ひとりだけでも、夕食はシビアに割り勘だったんですか?

「いえいえ(笑)、たくさん負かされたあとは行きつけの店で、よく鍋をご馳走になりました。勇気さんはいまもそうですが、とにかく電話魔なんです。毎日のようにお呼びがかかった時期もありました。三段リーグが佳境の頃ですね。いつも不思議だったんですけど、なぜか勇気さんに私の日程がしっかり把握されているんですよ(笑)。結構いろんな研究会に所属していて忙しかったんですけど、自分の休養日を勇気さんはピンポイントで知っていて(笑)。ある年なんかは、バレンタインデーの日に「今日、暇でしょ?」みたいな電話が突然かかってきて「これからスノボいかない?」ですから(笑)。確か軽井沢だったと思うんですけど、その誘いに二つ返事で乗っちゃう自分もどうかしているわけですが……」。

―佐々木八段はマイペースなんですね。

「ハイ。楽天的で、それに頭の回転がすごく早いですね。そんな考えがよく思いつくなと感心するくらい、特に自分の損得勘定に敏感です(笑)。勇気さんの盤上の鋭さにも通じるものがあるかもしれません。もともとは中終盤で勝負するタイプで逆転が多い棋風でしたから、嗅覚に優れていますよね。いまは序盤に比重を置く将棋にシフトしていますが、今期の竜王戦トーナメントでは終盤でひっくり返す底力が目を引きました。洗練された序盤と隙のない中盤、それに本来の終盤の切れ味が三位一体となって、現在の勇気さんの充実があるのだと思います」。

―岡部さんも序盤に定評がありますが。

「知識量は結構あるかとは思うんですけど、いままではそれを自分の対局に生かすのがヘタだった気もしています。実戦に現れそうもない局面を、いくら詳しく研究しても無意味ですものね。学校の試験で、出題範囲以外の勉強が高得点に結びつかないのと一緒です。先ほども話しましたが、対局相手に照準を合わせないと要領が悪すぎますから。でも伊藤さんや藤井竜王は違うんですよね。自分なんかだと中途半端で幸薄いような結果に終わりそうな研究でも、2人の勉強量はお釣りがくるくらい圧倒的なので、何をやっても無駄がないんです。常に入試レベルの勉強をしていて蓄えが豊富で幅広い。定期テストなんか眼中にない感じでいつでも盤石なんですよ。そこへいくと勇気さんは私と同様に、効率重視の戦略家としての側面が強いように思います」。

―佐々木八段との関係は、岡部さんがプロになってからも変わりないですか?

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