DX時代におけるサプライチェーンリスクとマネジメントのあり方は? 第3回 サプライチェーン・リスクマネジメントのあるべき姿
マイナビニュース / 2025年1月28日 13時0分
本連載の第1回では、複雑化する現在のサプライチェーンとその課題について解説した。「自社のサプライチェーンの可視化ができていない」そして「リスク事象が発生した際にそれを覚知し、どのような影響があるのかを把握できない」点が課題となる。
下図はスペクティが2024年2月に実施した、製造業の経営層やサプライチェーン業務に従事する方々を対象とする調査の結果である。「サプライチェーンにおいて発生し得るリスク事象の把握」「サプライチェーンの見える化」「サプライチェーンを阻害するリスク事象の発生を迅速・正確に覚知すること」が上位に来ている。
サプライチェーン可視化は待ったなし
ここでまず求められているのはサプライチェーンの可視化であり、そのためにはサプライチェーン情報基盤の整備が必要となる。そもそもサプライチェーンとは、事業を進めていく中で少しずつその姿を変えていくのが自然だ。
となると、それらに付随するリスクやインシデントの発生確率、事業に与える影響なども変動していく。ダイナミックに移り変わっていくサプライチェーンのうち、ある時点の姿をとらえるだけでは意味がなく、変化をタイムリーにとらえて自社のサプライチェーン・リスクマネジメントに反映していく必要がある。
しかし、それがしっかりと実現できている企業は多くない。リスク事象が発生した際に、せっかく策定しておいた計画を実行に移しても役に立たなかったという事態が実際に起きている。例えば自動車の場合、サプライヤーや部品の数が膨大で、メールやヒアリングによってこつこつと情報収集をするには工数がかかりすぎ、また設計変更などのたびに情報更新するのも大きな負担となってしまう。
こうした問題を解決するには、人手を使って情報収集や整備を行うのではなく、サプライチェーンとリスクの情報をリアルタイムに把握できる情報基盤を整備することが望ましい。
サプライチェーン情報基盤の整備
情報の共有にはいくつかのやりかたが考えられる。一番シンプルなのは、ExcelファイルやCSVファイルなどでデータを受け渡しすることである。この場合、開発費などがかからないというメリットはあるものの、ヒューマンエラーが起きやすく、高頻度でのデータ連携には向いていない。
次にEDIでシステム同士を連携させる方法も考えられる。しかしこれでは、多くのサプライヤーを抱える場合にはシステム間の接続関係が複雑化してしまうおそれがある。ゆえに、ハブ&スポーク型のデータ連携基盤という「場」をつくり、そこにステークホルダーがデータを流し込み、一元的に管理する方法がこの場合はベストな選択肢となるはずだ。
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