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スペースXの「スターシップV2」宇宙船、初飛行 - イーロン・マスクの新たな挑戦と未来への展望

マイナビニュース / 2025年1月20日 18時50分

新型「スターシップV2」のデビュー

そして、2025年最初にして、通算7回目となった今回の飛行試験は、新型の「スターシップV2」宇宙船のデビュー戦となった。

スターシップV2宇宙船は、全長が2.1m伸び、より多くの推進薬を搭載できるようになった。これにより打ち上げ能力が向上し、100t以上という目標を実現できるようになる。

また、機首部分にある前部フラップ(小さな翼)も新しく設計し、形状も、取り付け位置も変わった。これにより、大気圏への再突入時の耐久性が向上するという。あわせて、後部のフラップも再設計されている。

さらに、耐熱システムも大幅に改良した。基本的に2万枚近いセラミック製タイルを貼っている点は変わらないものの、その下には追加の保護層としてアブレーション(融除)材の層が設けられた。これは5回目の飛行試験で実証されたものである。

今回の試験では、新しいセラミック製タイルも試験的に装着していたほか、「アクティブ冷却システム」とされる新しいタイプのタイルも装着されていた。後者について、詳しい仕組みなどは不明だが、表面から推進薬の一部などを噴射して、ガスの保護膜を作り、機体を熱から守るような仕組みとみられる。いずれにしても、耐熱システムの完成に向けて試行錯誤を繰り返していることが伺える。

くわえて、推進薬の配管に真空の断熱層を設け、いわば魔法瓶のようにすることで、蒸発を抑える工夫も取り入れたという。

このほか、宇宙船もゆくゆくはチョップスティックスで回収するため、捕獲ポイントが設けられ、また人工衛星を放出する機構も試験的に搭載された。

一方、発射塔も改良された。前回の6回目の飛行試験では、安全な回収にとって必要な条件が整わなかったことから、回収の実施は見送られた。それを受け、発射塔に新しいレーダーとセンサーを組み込み、より安全で確実な回収を可能にしている。

また、アビオニクス(電子機器)とソフトウェアも改良された。

なお、今回の飛行試験では、スーパー・ヘヴィは従来型が使われたが、将来的には宇宙船と同様に「V2」へアップグレードし、打ち上げ能力の向上などを図ることになっている。このスーパー・ヘヴィV2とスターシップV2を組み合わせた「スターシップ・ブロック2」で、宇宙輸送システムとして一応の完成を見ることとなっている。

また、今回の試験では、5回目の試験で飛行したロケットエンジンが再使用された。このエンジンは「314」というシリアルナンバーで、そこから円周率の「パイ」という愛称でも呼ばれている。スターシップでエンジンが再使用されるのは初めてだが、将来的には当たり前になる予定で、その布石でもあった。

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