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スペースXの「スターシップV2」宇宙船、初飛行 - イーロン・マスクの新たな挑戦と未来への展望

マイナビニュース / 2025年1月20日 18時50分

さらに、スターシップは単独で月へ飛行することができないため、地球周回軌道上で別のスターシップから推進薬を補給する必要がある。この軌道上でのスターシップ同士のドッキングや推進薬の移送は、大気圏再突入と同じくらい難しい、技術的挑戦である。

スターシップの開発が遅れれば、スペースXだけでなく、米国航空宇宙局(NASA)にとっても大打撃となる。NASAは、国際共同で進めている有人月探査計画「アルテミス」において、スターシップを月着陸船として使うことを計画しており、2027年にも宇宙飛行士を乗せて、月面に着陸する予定になっている。

こうした中、ジョーカーカードになりうるのが次期トランプ政権と、その中枢に入り込むことになったマスク氏の存在である。

次期トランプ政権の宇宙政策はまだはっきりとした展望が見えていないが、もともとアルテミス計画は第1次トランプ政権で始まったものであり、また米国大統領の3選は基本的にできないため、次期トランプ政権の任期中、すなわち2029年1月までの月面着陸の実施を求めるものとみられる。

またマスク氏は、これまでもFAAやNASAの体質にたびたび苦言を呈しており、そして第2次トランプ政権では政府効率化省(DOGE)なる役職に就くことになった。くわえて、NASA次期長官には、マスク氏と志を同じくするジャレッド・アイザックマン氏が指名されている。

マスク氏がその立場から、どれだけの辣腕を振るえるかは未知数だが、たとえばFAAに圧力を掛けたり、NASAの方針や計画をスペースXにとって都合の良い形に変えたりなど、権力を乱用する可能性はある。それはスターシップの開発にとって、そしてアルテミス計画にとって追い風となるかもしれないが、同時に多くの軋轢や悪影響を生むことも避けられないだろう。

アルテミス計画には日本も参画しており、スターシップに日本人宇宙飛行士が乗ったり、日本製月面車を積んで運んだりすることも既定路線であることから、無関係ではいられない。これからのマスク氏とスターシップの動向は、これまで以上に注視する必要がある。

○参考文献

・Starship's Seventh Flight Test
・SpaceX(@SpaceX)さん / X
・FAA General Statements | Federal Aviation Administration

鳥嶋真也 とりしましんや

著者プロフィール 宇宙開発評論家、宇宙開発史家。宇宙作家クラブ会員。 宇宙開発や天文学における最新ニュースから歴史まで、宇宙にまつわる様々な物事を対象に、取材や研究、記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。 この著者の記事一覧はこちら
(鳥嶋真也)



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