大人のインフラ紀行 第10回 東京湾の歴史的な軍事インフラ、水平線の彼方に浮かぶ第二海堡を訪れて思ったこと
マイナビニュース / 2025年1月28日 7時0分
インフラツーリズムとは、公共施設である巨大構造物のダイナミックな景観を楽しんだり、通常では入れない建物の内部や工場、工事風景などを見学したりして、非日常を味わう小さな旅の一種である。
いつもの散歩からちょっと足を伸ばすだけで、誰もが楽しめるインフラツーリズムを実地体験し、その素晴らしさを共有することを目的とする本コラム。今回は、東京湾の「第二海堡(だいにかいほう)」を訪ねてみた。
○東京湾に浮かぶ歴史的軍事施設
寒風吹きすさぶ1月某日、第二海堡見学のクルーズツアーに参加した。集合場所は神奈川県・横須賀の三笠ターミナル。ざっと見たところ、参加者は30人〜40人くらいだろうか。皆で三笠桟橋からチャーター船に乗りこみ、沖合の第二海堡に向かった。
東京湾に浮かぶ遺構、第二海堡。この人工島は、明治時代に国土防衛の要とすべく建造され、役目を終えた現在は、歴史遺産として再び評価が高まっている軍事インフラである。
“海堡(かいほう)”とは耳慣れない言葉かもしれないが、人工島に砲台を配置した洋上要塞のことだ。かつて日本初の海上土木工事により、東京湾に以下の3つが建造された。
○第一海堡
千葉県の富津岬先端からすぐのところ、満潮時の水深4.6メートルの海に位置する日本初の海堡。1881年(明治14年)に着工し32万人の人夫が使役、1890年(明治23年)に竣工した。7万立方メートルの石材と13万立方メートルの砂が使用されている。財務省の管轄下に置かれている現在は、立ち入り禁止で外観のみ確認できる。島内には、当時の砲台や兵舎の痕跡が残っている。
○第二海堡
第一海堡の西2,577メートル、満潮時水深約12メートルの洋上に築かれた最大規模の要塞で、49万立方メートルの石材と30万立方メートルの砂が使用されている。1889年(明治22年)に着工、50万人の人夫が使役して1914年(大正3年)に竣工した。島内には砲台や弾薬庫、兵舎などが配置され、東京湾防衛の中核を担った。
○第三海堡
第二海堡の南611メートル、満潮時水深39メートルの海に位置し、1892年(明治25年)に着工、1921年(大正10年)に竣工した。1923年の関東大震災により、構造物のほとんどが水没。その後は長く海上に残骸があったが、船舶の航行安全のため、2000年(平成12年)度から2007年(平成19年)度にかけて撤去工事が実施され、現在はその姿も見られなくなった。
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