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「若者は年金がもらえない」は本当か - 明治安田総合研究所が考察

マイナビニュース / 2025年1月28日 15時31分

1号期間中心と3号期間中心を合わせた割合を見ると、1959年度生まれの36.3%に対し、2004年度生まれは15.5%まで低下する見込みである。女性の就業率は1959年度生まれが20歳になる1979年には46.7%だったが、足元では54.7%まで上昇しており、労働市場の変化を踏まえると、若い世代の方が年金を作りやすい環境にある。共働き世帯が専業主婦世帯の約3倍になっていることを踏まえると、こちらの方がモデル年金より実態に近い姿と言える。

○年金の支え手を年齢で区切るのは正しいか

次に、「保険料負担が今後増えるかもしれない」という点だが、こうした不安の根底には少子高齢化に伴う人口構造の変化があると考えられる。2025年は昭和22年(1947年)~24年(1949年)に生まれた「団塊の世代」がすべて75歳以上となる。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、75歳以上が総人口に占める割合は2割近くに上る見込みである。今後も高齢人口は増える見通しで、65歳以上に対する15歳~64歳の人数は、1980年には7.4人だったが、2010年には2.8人、2040年には1.6人となる。いわゆる「胴上げ型」→「騎馬戦型」→「肩車型」へと変化していく構図である。

年金財政にとって支え手を増やすというのは重要な視点となる。2024年の出生数は70万人を割る見込みで少子化対策は喫緊の課題である。一方、財政検証の結果を見る限り、支え手を年齢で区切って年金制度を悲観的に捉えることには注意を要する。厚生年金の保険料は適用事業所で働く場合には原則70歳まで負担する。そのため、年金の支え手を考える場合には、就業者と非就業者の割合を見ることも必要となる。非就業者(15歳以上のみに対する就業者の人数を見ると、1980年は1.6人、2010年に1.3人、2040年に1.7人と、先行きも含めほとんど変わらない。

○社会的扶養vs.私的扶養

保険料は、2004年の改正で現役世代の負担が過度にならないよう、国民年金17,000円、厚生年金18.3%(労使折半)の上限が定められ、2017年度以降は同水準に固定されている。それでも2017年度以前と比べれば保険料率は高いため、年金不信も手伝って世代間格差を嘆く声が散見される。保険料率を下げることは不可能ではないが、その分給付水準も下がることになる。加えて、少子高齢化という人口構造が存在する限り、公的年金による高齢者への社会的扶養の仕組みが家族間による私的扶養に取って代わるだけの可能性がある。私的扶養が可能な高所得世帯は問題ないにしても、終身にわたって年金が受け取れる長生きリスクに対応する機能や、所得再分配機能が失われれば、仕送り費用の増加や、高齢期の生活資金の枯渇に直面する人が出てくることが予想される。

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