かぜに抗菌薬は効かない! 「薬剤耐性(AMR)」問題、抗菌薬の正しい使い方とは
マイナビニュース / 2025年2月4日 10時32分
しかし、佐々木氏によると、かつてはかぜと診断された場合でも、抗菌薬が処方されるケースが多くあったという。最近では抗菌薬に関する教育・啓発の効果もあり、「かぜ治療に抗菌薬」というケースは減少傾向にあるが、一般の人を対象とした調査によると「抗菌薬はかぜに効く」と誤解している人が39%、「わからない」と回答した人を合わせると74%が正しい知識をもっていないことがわかった。
ちなみに、日本で抗菌薬をもらうためには医師の処方せんが必要となる。そのため、薬局で市販されている一般用医薬品(OTC)のかぜ薬は抗菌薬ではなく、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの解熱鎮痛剤、抗ヒスタミンのような鼻水を抑える薬など、かぜの症状を緩和する目的のものがほとんどだという。
○かぜの治療は休むこと
医師が患者をかぜと診断したときは、のどが痛い人には鎮痛剤、せきがひどい人にはせき止めといった具合に、「症状を緩和する薬」が処方される。しかし、薬によって症状を緩和し、体を楽にすることはできるが、かぜが早く治るわけではない。症状が持続する期間には個人差があるものの、軽快するまで1、2週間ぐらいかかると言われており、その間「しっかり休んで自身の免疫で治るのを待つ」ことがかぜの治療だと佐々木氏は言う。
○かぜをきっかけとしてAMRを防ぐ
これまで、かぜに対する抗菌薬の処方は頻繁に行われてきた。かぜの原因の多くはウイルスであると認識していたとしても、「もしかしたら細菌が原因かもしれない」「重症化を防げるかもしれない」「念のため」といった理由で、抗菌薬が処方されることも。以前は薬剤耐性菌の問題が十分に認識されていなかったことも一因だと考えられる。
しかし、「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」に基づく教育・啓発が進められたことで、最近ではかぜに抗菌薬が処方される機会は減ってきたという。一方で、患者の中にはかぜに対して抗菌薬の処方を希望する人もおり、そのような場合、不要と考えつつも患者の希望を優先して抗菌薬を処方する医師もいると佐々木氏は指摘する。その結果、患者にとってメリットがないばかりか、薬剤耐性菌出現のリスクも含めたデメリットを増やしてしまうことに。
医師はかぜのような抗菌薬が不要な疾患への処方を控え、患者としっかりコミュニケーションを取り、不必要な場合に抗菌薬を服用することのデメリットを丁寧に説明していく必要があると佐々木氏は述べている。さらに、薬の専門家である薬剤師との連携も重要だとしている。また、患者側も医師や薬剤師の説明をしっかりと聞き、かぜや抗菌薬に関する正しい知識を身につけることが求められる。
○1.抗菌薬を正しく使う
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