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「この状況はどこへ向かっていて、みんなにとって本当に価値のあるものやモラルはどこにあるのか。そして私が解明したかったのは、このような状況に対する解毒剤は何なのかということ」ジア・コッポラ監督 『メインストリーム』インタビュー/Interview with Gia Coppola about “Mainstream”

NeoL / 2021年10月6日 17時0分

「この状況はどこへ向かっていて、みんなにとって本当に価値のあるものやモラルはどこにあるのか。そして私が解明したかったのは、このような状況に対する解毒剤は何なのかということ」ジア・コッポラ監督 『メインストリーム』インタビュー/Interview with Gia Coppola about “Mainstream”



家族や友だちと日常を共有したり、世界中の人とリアルタイムで交流できたりと、私たちの好奇心を刺激してくれて、今や生活の大きな一部となったソーシャルメディア。その一方で、そこには様々なトラブルが潜んでいることも周知の事実だ。映画『メインストリーム』が描くのは、YouTuberとして脚光を浴び、ソーシャルメディア界の“メインストリーム(主流)”となった若者の物語。ロサンゼルスで何者かになりたいともがいていた20代のフランキーは、謎めいた男・リンクと出会い、作家志望の友人ジェイクの力を借りて、リンクを“ノーワン・スペシャル(ただの一般人)”というYouTuberとして売り出す。驚くほどの早さで富と名声を得た彼らだったが、楽しいだけの刺激的な日々が長く続くことはなかった…。監督はフランシス・フォード・コッポラの孫で、ソフィア・コッポラの姪に当たるジア・コッポラ。リンク役にアンドリュー・ガーフィールドを迎え、ソーシャルメディアの生み出す快楽と得体の知れない不安を見事に描き出した。ここでは10月8日の日本公開を前に、コッポラ監督にリモートインタビューを行い、映画の制作秘話やソーシャルメディアに対する考えなどを聞いた。 (→ in English)



――映画『メインストリーム』の日本公開おめでとうございます。長年の構想を経て完成したそうですが、インフルエンサーのカルチャーを描いた本作のテーマは、今の世の中にもぴったりですね。


ジア・コッポラ監督「7年前に本作の制作を始めた時点ですでに浸透していて、どんどん大きくなっていたテーマだったので、今日性は高まる一方だろうと思っていました。でも、私が興味をそそられたのは、何年も先まで振り返ることができるタイムカプセルのような作品にして、たとえ変わりゆく部分があったとしても、少なくとも常に同じ感情が得られるようにするにはどうしたらいいか、と考えることでした。というのも、私は1950年代の映画『群衆の中の一つの顔』(※マスコミによって祭り上げられて有名になった青年の悲劇を描いた物語)からインスピレーションを得たんです。ラジオからテレビへの転換期を舞台にした作品なのですが、本作とよく似た問題を扱っていました。このようなことは繰り返されるのだと思います」


――私はYouTubeを観て育った世代ではないので、ネットで配信されているコンテンツの面白さを理解できないと言うフランキーに共感を覚えました。監督はなぜこの物語を伝えたいと思ったのですか?


ジア・コッポラ監督「まさに、みんなが夢中になっているものや、虜になっているものが理解できなかったからだと思います。少なくとも私にとって、何かに夢中になるにはストーリーが必要なのですが、多くのコンテンツにはストーリーがなくて、それでもたくさんのフォロワーがいるんですよね。そのような好奇心もあって、自分が抱いていた疑問から解放されたいという気持ちで本作を手がけました。答えが見つかったとは思わないけれど、少なくとも、ポップカルチャーの好みとかけ離れているように感じていた自分の気持ちを和らげることができました」


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――リンク役のアンドリュー・ガーフィールドのパワフルな演技に圧倒されました。本作ではプロデューサーも務めたそうですが、彼の意見で印象的だったことはありますか?


ジア・コッポラ監督「リンク役はアンドリューに演じてほしいと、ずっと思っていました。私は彼の作品の大ファンでしたし、彼は言うまでもなく才能豊かで熟練した役者ですから。あれほどのレベルの才能を持つ人と一緒に仕事することができたら、今回のような大きなアイデアでも、シンプルで少し甘いおとぎ話のように、もしくは、ダークなおとぎ話のように感じられる物語を伝えられるかもしれないと思ったんです(笑)。このような題材は説明的になりやすいので、感情を前面に出すにはどうしたらいいのだろうと考えていたのですが、アンドリューは非常に知的な人で、私の疑問にもとても熱心に向き合ってくれました。コラボレーターになってくれて本当に助かりましたし、とても贅沢な時間でした」


――フランキー役のマヤ・ホーク、ジェイク役のナット・ウルフとのアンサンブルも素晴らしかったです。彼らをキャスティングした経緯は?


ジア・コッポラ監督「私がアンドリューにリンク役を演じてもらいたかったもう一つの理由は、彼がよくヒーローを演じていたことでした。リンクは嫌われるようなことをいっぱいやるので、観客が話についていくことができて、彼には良いところもあるんだと感じてもらえるような、完全に嫌うことはできない人物にしたかったんです。ジェイク役のナット・ウルフとは前作『パロアルト・ストーリー』(2015)で一緒に仕事をしたのですが、そのときは(リンクと)よく似たタイプの迷える魂のような役を演じてもらいました。実際の彼は私にとって弟のような存在で、とても優しくて愛すべき人なんです。だから、今回は私が大好きな彼の一面を見せられる役を演じてもらおうと思いました。フランキー探しはとても難航したのですが、ちょうどキャスティングを行っていた時期に、ザック・ポーゼンのキャンペーンのために(フォトグラファーとして)マヤを撮影する機会があったんです。私たちはすぐに意気投合して、言葉を交わさなくても瞬時に通じ合えた気がしました。『よし、彼女がフランキーだ』と思って、この3人に決めたのですが、ありがたいことにすべてがうまくいきました」







――監督が手がけたブラッド・オレンジの「You’re Not Good Enough」のミュージックビデオが大好きなので、デヴ・ハインズが本作の音楽を担当していると知ってうれしかったです。彼とは本作についてどのような話をしましたか?


ジア・コッポラ監督「デヴは本当に天才なので、私は一歩引いて彼に任せることにしました。どんな意見を伝えるよりも前に、まずは彼がどのように解釈するかを知りたかったのです。でも、私がずっとイメージしていた、本作を構成する3つの幕については少しだけ伝えました。第1幕は若くて純粋なロマンスのような感じで、第2幕は絵文字が顔に飛び込んでくるような、楽しくてちょっと大げさな世界観です。そして、そこからとてもダークで目が覚めるような状況へと変わっていきます。それを感情的にたどるような音楽にしたかったのですが、彼はすでにお見通しでした」 


――日本でもソーシャルメディアに関連する問題は少なくないですし、スマートフォンに釘付けの人も多いので、この映画は様々な会話のきっかけになると思います。


ジア・コッポラ監督「こういったものがどのように設計されているのかリサーチしたのですが、ただのビジネスであり、企業が私たちを縛りつけようとしていることがわかって非常に気分が悪くなりました。それは私たちに精神的な影響を与えます。特にまだ知識も浅く、未熟で発展途上にある若者にとっては、本当に危険なものです。学校で注目を浴びるレベルではなく、(ソーシャルメディアでは)世界中の人々の目にさらされて、意見を押し付けられるわけですから。そのようなレベルの注目に対応できる人なんていないと思いますし、思春期の子ならなおさらです。私自身は20代までソーシャルメディアがなかったのですが、始まった当初は友だちと写真を共有したり、知らない人と交流したりできて、とてもエキサイティングでした。でも、次第にある種のモンスターが成長していくのが見えて、いろんな意味で有害な場所なんですよね」







――インターネット上のコンテンツは、映画やテレビなど他のメディアとは異なる独特なものだと感じます。監督がそのように感じることはありますか?


ジア・コッポラ監督「そのことに関しては、感じていることがたくさんあります。私はソーシャルメディアからたくさんのインスピレーションを得ていますし、まるで昔の雑誌のように画像を保存したりしています。それは本当に素晴らしいことですが、ソーシャルメディアのせいで読書の時間が減少していることも証明されているんですよね。それに、内容よりスタイルが重視されていて、インスタグラムのフィルターがかかっているように感じられる映画も多いです(笑)。とはいえ、通常では考えられないほど多くの画像にアクセスできるという利点もあるんです」


――本作を観ると、ネット上では誰もが瞬時にたくさんの注目を集められるということ、そして、それがいかに有害で中毒性があるかがわかります。観客に答えを与えるというよりも疑問を投げかけていますが、映画を観終えた後、どのようなことを考えてほしいですか?


ジア・コッポラ監督「私たちがこれまでに話してきたような疑問を持ってくれるといいなと思います。この状況はどこへ向かっていて、みんなにとって本当に価値のあるものやモラルはどこにあるのか、ということです。私が解明したかったのは、このような状況に対する解毒剤は何なのか、ということでした。本作を通して、そして、今回のパンデミックを通して学んだことは、今日の私たちに与えられたテクノロジーにどれだけ素晴らしい側面があったとしても、自然や本当の意味でのつながりは何物にも代えがたいということです。富や人気を重視することが多いカルチャーですが、それは実際に私たちを育んだり、満たしたりするものではないと感じています」







――クリエイターとして、今回のパンデミックから影響を受けたことはありますか?


ジア・コッポラ監督「私はパンデミックの間に大きな刺激を受けました。家族とナパバレーで過ごしていたのですが、長時間をかけて車で往復する際に、よくフィクションのポッドキャストを聴いていて、すごくクリエイティブだなと感じたんです。ロケ地も高額な契約も必要ないので、好きなだけ奇妙でワイルドなものにしたり、お金をかけたりすることができるんですよね。ポッドキャストは本当に興味深い遊び場だと思うし、みんながもっと挑戦するべきエリアだと思いました」


――フォトグラファーとして、ビデオディレクターとして、そして映画監督として活躍されていますが、日本でアーティストを目指している人たちにアドバイスはありますか?


ジア・コッポラ監督「私たちはみんな個性的な存在だと思うんです。だからこそ、みんながそれぞれの個性を受け入れ、それを共有することで、自分の得意分野とは全く異なる物語に触れられたらいいなと思います。物語を伝え続けて、共有してください。今は手頃な価格でみんなに共有できるテクノロジーがある時代ですから、ぜひそれを活用してくれたらと思います」







Text Nao Machida



『メインストリーム』
10月8日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国ロードショー
公式HP:happinet-phantom.com/mainstream/ 


【STORY】
スターダムへの野心が狂気に変わる時、最悪の事件を引き起こすー
夢と野心が交錯する街LA。20代のフランキーは映像作品をYouTubeにアップしながら、さびれたコメディバーで生計を立てる日々に嫌気がさしていた。ある日、天才的な話術の持ち主・リンクと出会い、そのカリスマ性に魅了されたフランキーは、男友達で作家志望のジェイクを巻き込んで、本格的に動画制作をスタートする。自らを「ノーワン・スペシャル(ただの一般人)」と名乗り、破天荒でシニカルなリンクの言動を追った動画は、かつてない再生数と「いいね」を記録。リンクは瞬く間に人気YouTuberとなり、3人はSNS界のスターダムを駆け上がってゆく。刺激的な日々と、誰もが羨む名声を得た喜びも束の間、いつしか「いいね!」の媚薬は、リンクの人格を蝕んでいた。ノーワン・スペシャル自身が猛毒と化し、やがて世界中のネットユーザーからの強烈な批判を浴びるとき、野心は狂気となって暴走し、決して起きてはならない衝撃の展開をむかえる―


監督・脚本:ジア・コッポラ (『パロアルト・ストーリー』) 共同脚本:トム・スチュアート
出演:アンドリュー・ガーフィールド マヤ・ホーク ナット・ウルフ
ジョニー・ノックスヴィル ジェイソン・シュワルツマン アレクサ・デミー コリーン・キャンプ
原題:Mainstream│2021年│アメリカ映画│シネマスコープ│上映時間:94分│映倫区分:G
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2020 Eat Art, LLC All rights reserved.
公式twitter:@mainstream_jp 公式Instagram:@mainstream_jp








――Congratulations on your film! I know you had been working on it for years, but the theme of “influencer culture” portrayed in this film is still very relevant in the world today.


Gia Coppola: When I started making it seven years ago, I knew it was something that was percolating and getting bigger and was only going to become more relevant. But I was fascinated of like, how can I make sure that this is just a time capsule that we can look on for years to come, and even though certain things will feel different, at least emotions will always be the same? Because I was inspired by a film that was made in the 1950’s called “A Face in the Crowd” and it was dealing with very similar issues, but with transitioning from radio to television. So I think these sort of things are very cyclical.


――My generation didn’t grow up watching YouTube, so I could relate to Frankie when she said she doesn’t get some content that’s being streaming online. Why did you want to tell this particular story?


Gia Coppola: I think it was exactly that of not understanding what people were so enthralled by and captivated by. At least for me, I need a story to engage with something. But so much of the content doesn't have to involve stories, yet all really have large followings. So in that curiosity, I had to go in to kind of feel like a release from that question. I don't think I've ever found the answer, but I at least kind of alleviated myself of feeling very alien to what pop culture likes.


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――Andrew Garfield was very powerful as Link, and he’s credited as a producer as well. What were some of the inputs he had for this film that inspired you?


Gia Coppola: I always knew I wanted Andrew to play the role of Link. I was just a big fan of his work and obviously, he's extremely talented and skilled. So I knew that if I get to work with that level of talent, it would really help guide me in taking these really big ideas, but telling it in a way that feels simple and almost like a little sweet fairy tale or dark fairy tale [laughs.] It’s so easy to get expositional with that kind of subject matter, so how can I make it making sure that the emotion is the forefront? He's so intelligent and very passionate about all these questions that I was having, so to have him kind of be a collaborator was really helpful and such a luxury.


――Andrew, Maya Hawke and Nat Wolff were a great ensemble. How did you cast the main characters?


Gia Coppola: I knew I wanted Andrew to play that part, also because he's so often cast as the hero. So I wanted to have someone that I think audience could follow along and feel like there's a goodness to that person and not totally unlikable, because he's going to do a lot of unlikable things. Nat Wolff, I’ve worked with in “Palo Alto” and he played a very similar kind of lost soul. In person, he's like my brother, and he's very sweet and lovable, and I wanted to give him a part where I could show those other aspects of him that I really enjoy. And Maya, I was really struggling trying to find the role of Frankie. As I was in the rehearsal process of trying to cast it, I photographed her for a Zac Posen campaign. And her and I just really hit it off. We felt like there was just a kind of instant connection without words. So I was like, “Okay, this is Frankie” and I put everyone together. Thankfully, it all worked out.







――I really love the music video that you made for Blood Orange’s “You're not Good Enough,” so I was excited when I found out that Dev Hynes made the music for this film. What did you guys discuss about creating music for this film?


Gia Coppola: Dev is such a genius that I really just step aside and let him run with it. I wanted to see how he interprets it all before giving any kind of feedback. But I gave him a little bit of what I had always imagined that the film is in three tonal acts. The first act is sort of this young, naive romance, and then the second one is this fun, kind of bombastic, emojis flying in your face world, and then it kind of gets really dark and sobering. So to kind of make sure that it's emotionally tracking that, but you know, he knew that already.


――I think this film would start many conversations in Japan, as there are many problems involving social media and many of us can’t keep our eyes off of smartphones.


Gia Coppola: I had to do a lot of research about how these things are designed, and it's very sickening to see that it's just a business and it's a corporation that's trying to keep you tethered. But it's affecting us mentally. It’s really dangerous especially for young people who aren't well-equipped and are still raw and developing themselves. It's no longer you're just walking through the hallways of high school, the whole world has their eyes on you and has an opinion. I don't think anyone is equipped for that level, let alone someone who's going through puberty. I had no social media up until my 20’s and when it first started, it was so exciting to be able to share photos with friends and interact with people that you didn't know. But then, you could kind of see this sort of monster growing, and in some ways, it’s a toxic space.







――I often feel that the content on the Internet is so uniquely different from that of other media like film or TV. Do you ever feel that way?


Gia Coppola: I guess I have a lot of feelings about that. There's a lot of inspiration I get from social media and saving certain images as if it were a magazine back in the day. It’s really great. But it's been proven that you don't read as much because of social media. And I find a lot of movies can sometimes be style over substance, or sometimes you just feel like you're looking at it through the Instagram filter [laughs.] You can see the influence of that. But the pros are, I get access to so much more imagery than I think I would normally have.


――In this film, you can see how anyone can get so much attention online so quickly, and how toxic and addictive it is. This film leaves more questions than the answers, but what would you hope for the people to reflect on when they leave the theater?


Gia Coppola: I hope it just invites all of those questions that we've been talking about; Where is this going? Where do real values and morals lie for everyone? I think what I was trying to grapple with was like, what is the antidote to all this? For me, what I've come to learn is that, and what we've learned through this pandemic as well is that nature and real connection cannot be replaced as much as there is amazing aspect to the technology that we're given today. I feel like so much of the culture really put so much value on wealth and popularity, and those aren't the things that actually nurture and fulfill you.







――I think this pandemic influenced all of us in one way or another. How did it affect you as a creator?


Gia Coppola: I got very inspired during the pandemic. I was in Napa Valley with my family, so having to drive long hours back and forth, I was listening to a lot of fictional podcasts and how creative you can be. You can be as weird and wild and expensive as you want, because you don't have locations and you don't have to deal with expensive contracts or whatever. So I think that space is a really interesting playground and people should get into that more, too.


――Do you have any advice for the people in Japan who aspire to become an artist?


Gia Coppola: I think we're all unique individuals. So if we can embrace our individuality and share those parts of ourselves, then I'm so curious to kind of be exposed to other stories that are totally out of my wheelhouse. So keep telling stories and sharing that. We are in a period where we have technology that can make it affordable and accessible to share with everyone, so encourage that.








text Nao Machida

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