アメリカの有名キャラクターを通して「男らしさ」という概念を探る。ヘブル・ブラントリー個展「ミトス・オーパス・パート1」
NeoL / 2021年11月2日 15時0分
メグミオギタギャラリーでは、ヘブル・ブラントリー個展「ミトス・オーパス・パート1」を開催。シカゴ生まれのブラントリーはクラーク・アトランタ大学で映画の学士号を取得、デザインとメディアイラストレーションのバックグラウンドを持ち、現在はロサンゼルスに在住しながら数多くの個展やグループ展、アートフェアに参加、作品は世界的な人気を集めている。約2年前の日本初個展では、迷彩を基調とした会場に色彩豊かな作品が並んだ。
ブラントリーは概念化されたキャラクターを象徴的に用いながら、郷愁、精神、力や希望などの複雑なアイデアを形にしてきた。配色、ポップアート的なモチーフ、そして彼の生み出すキャラクター達が、重層で多面的な作品をより身近なものにしている。彼は1960年代から70年代にかけてシカゴのサウスサイドで起こったアフリコブラ運動に多大な影響を受けており、壁画やグラフィティ作品をアフリカ系アメリカ人である自身の系譜としている。油彩、アクリル、水彩やスプレーから、コーヒー、紅茶などの非伝統的な媒体まで、様々な素材を用いて制作。彼の作品は従来のヒーローや主人公の見方に対する挑戦であり、鑑賞者に新たな視点を与える現代の物語でもある。
ブラントリー作品は、一貫して「ダーク・フィクション」という大宇宙の探求をテーマにしている。ここでのダークとはアイデンティティ、出自、考え方などを意味し、それらを紡いで一つの物語が構成される。彼はこの独自の概念によって、ミッキーマウスやバットマンと並んで存在する規範の中に、英雄の如く空を見上げるキャラクター、フライ・ボーイを生み出した。また、緑色のヘルメットで頭を包み込んだフィビーは協調性が必要だと感じており、特に黒人には脅威がなく、他者にとって安全だと感じさせることを自らの使命としている。一方で彼のヘルメットは、黒人にとっての隠れ家や盾の役割も果たしている。ブラントリーはこれらのキャラクターを駆使して、現代文明と神話の再評価を行っている。
今展にてブラントリーは会場全体をデザインし、宇宙空間に21点の作品が浮遊するかのような意欲的な展示を試みている。豊かな文化的水源を辿ると同時に、最新のアフロフューチャリズムを体現した「ミトス・オーパス・パート1」をご覧あれ。
なお本展と同時期に、NANZUKA 2Gで「Mythos Opus Pt. 2」(~11月14日)、3110NZ by LDH kitchenで「Mythos Opus Pt. 3」(〜11月13日)も開催。
ヘブル・ブラントリーのステイトメントは以下。
今回の展覧会では、アメリカの有名キャラクターを通して「男らしさ」という概念を探ります。バットマンやロビンなどの肖像を用いながら、思春期から大人になるまでの道のりと、その旅がもたらすものに迫ります。現代文明の中で、リーダーシップと過剰な男らしさの相関関係は変容し、結果として男らしさへの理解や期待にも以前との違いが見られるようになっています。
今展では、私たちがヒーローの存在をどのように認識しているのかを問いかけます。私たちのリーダーは誰なのか、誰に従うべきなのか、またその理由とは。
ヘブル・ブラントリー / Hebru Brantley
ミトス・オーパス・パート1 / Mythos Opus Pt.1
会期:2021年10月29日(金) ~ 11月20日(日)
場所:メグミオギタギャラリー 東京都中央区銀座2-16-12銀座大塚ビルB1
時間:11:00 - 19:00 日・月・祝日(11.3水) 休廊
https://www.megumiogita.com/hb202110mythos-opus-pt1
*新型コロナウイルス感染対策のため、混雑時にご入場をお待ち頂く場合がございます。
関連記事のまとめはこちら
https://www.neol.jp/art-2/
外部リンク
- 岡田舜 安部悠介 二人展「底のない深さ」
- アメリカの有名キャラクターを通して「男らしさ」という概念を探る。ヘブル・ブラントリー個展「ミトス・オーパス・パート1」
- 私は人生の色を探している。ハバナの旅を振り返ったニコ・ペレズ Havana Cuba “The Reprint ”Exhibition
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