「音楽は、自分の感情を仕分けして言葉として表現するためのツール」Interview with Deb Never ft. Calvin Klein
NeoL / 2021年11月15日 17時0分
宣教師である父と医療従事者の母のもとに生まれ、アジア人が少ない北米で暮らしていたDeb Neverは、他人が自分をどう見ているか不安でしかたなく、教室でジャケットすら脱げないほどシャイなティーンネイジャーだった。しかし教会から盗んだギターを弾きながら始めた音楽とスケートボード、アート・コレクティヴとの出会いによって自らとその人生の歩みを変えていく。2018年より制作した音源をリリースし始めたDebがEP“House on Wheels”(2019)を世に送り出すやいなや、深夜のベッドルームでの孤独な時間を共に過ごしてくれるようなその音楽は世界中のユースを惹きつけ、The 1975やKenny Beats、Dominic Fike、Jam Cityらをも虜に。アジア系アメリカ人としてだけでなく、クィアであることも明言し、様々な側面でのアイデンティティの確立に悩む人々をエンパワメントする存在となっている。2021年7月に1stアルバム『Where Have All The Flowers Gone?』をリリースし、直後にCalvin Kleinのキャンペーンに登場したDeb Neverにエクスクルーシヴ・インタビューを行った。
ーーかつてはとてもシャイだったそうですが、人目を気にせず、自分が居心地がいいと思うファッションを身につけ、自分自身でいられるようになるまでの旅路をシェアしていただけますか。
Deb「自分が着るものを好きになってからすぐ、他人がどう思うか気にするのをやめた。それってなんてエフォートレスで快適なんだろうって」
ーー『Where Have All The Flowers Gone?』は友人がメロウな音楽に乗せて自分のことをそっと打ち明けてくれるような素晴らしいアルバムです。Calvin KleinのVIDEOで“Language=Silence―沈黙に耐えられない”とおっしゃっていましたが、シャイであるが故に飲み込んできたたくさんの言葉や情景が音楽や歌詞として溢れ出しているように思いました。曲ができるきっかけとなるのは実際はどのようなことで、それをどのように音楽として成立させていくか教えてください。
Deb「私にとって音楽とは、自分の感情を仕分けして言葉として表現するためのツール。酔った勢いで出る勇気みたいなもの。普段出さないことを表現するために私には音楽が必要なんだ」
ーー“Sweet & Spice”のMVはアナログなヴィデオの質感があります。子どもの頃はニルヴァーナなど90年代のグランジやヒップホップを聴いていたそうですが、音楽の面だけでなく、ファッションでもそうした音楽やミュージシャンの影響は受けましたか。
Deb「ファッションスタイルはほとんどスケート・カルチャーから影響を受けているかな。例えばCalvin Kleinだったらより大きめのサイズで着用する。ゆったりとしてて、hotだから」
ーーあなたの周りには音楽のみならずアートやスケートボードなど様々な方法で自分を表現しているコレクティヴが存在します。彼らの存在もあなたの表現の助けや刺激になっていますか。
Deb「100パーセント(刺激を受けてる)。他のアーティストが彼ら自身や考え方を他のプラットフォームでどのように表現するのかを見て刺激されている。あとは周りの表現者たちを見て、演技をするってどんな感じなんだろうというのもずっと気になってた」
ーーLGBTQIA+コミュニティのアジア人ながら、その帰属意識が薄く苦労したこともインタビューで語っています。困難の中で“Be Honest”であることを重要視し、率直に自分のことを語れるようになるまで支えてくれた人はいましたか。
Deb「誰かがその時期を乗り越えるために支えてくれたとは思わない、だから私には音楽がある。Calvin Kleinのキャンペーンビデオでも自分のアイデンティティに関する話には触れなかったけど、それで良いんだ」
ーーキャンペーン動画ではとても自然体でリラックスしているように見えました。読者に話せるビハインドストーリーや印象深かったことは?
Deb「初めてアンダーウェアと靴下だけでカメラと50人の人の前で走り回ったこと。とても楽しい撮影だった。撮影初日にRenell(Medrano/レネル・メドラーノ)が私を冷たいバスタブの中に入らせたんだけど、もうその後は全ての撮影が簡単に思えた(笑)」
Deb Never/デブ・ネヴァー
シンガー、ソングライター兼ボーカリスト
https://www.instagram.com/debnever/
text Ryoko Kuwahara(T / IG)
Campaign Credits:
Photographer: Renell Medrano
Videos: rubberband
@calvinklein
#mycalvins
関連記事のまとめはこちら
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