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「シリア危機」における「米ロ合意」、今後はどう展開していくのか? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2013年9月17日 12時47分

 アメリカでも共和党筋をはじめとして、こうした問題への懸念の声は大きいのですが、オバマとしては「大きく時間を稼いだ」のは事実だと思います。現在の「100%上手くいくか分からないが、米ロの合意に基づいて、シリアが少なくとも化学兵器の継続保有や再度の使用は自制する可能性が出てきた」というのは、とりあえず現時点での成果として見ることは可能だからです。

 週明けのアメリカは、まずFRB議長人事の問題でロレンス・サマーズ氏が辞退したことで、「急速な金融引締めはなさそう」という感触が広がるなど、既にシリア危機はトップニュースではなくなっています。日本の台風18号と同様に、コロラド州での大規模な洪水のニュースも大きく伝えられています。また16日(月)の午後には、ワシントンDCの海軍施設内で銃撃事件があったりして、世論の関心は急速に「シリア問題」から離れつつあります。

 この問題の日本への影響ですが、長い目で見れば仮にアメリカが「有志連合方式」ではなく「国連の場におけるコンセンサス主義」に移行していくのであれば、日米関係にも影響が出てくると思います。というのは、この間「国連決議が取れずに有志連合の枠組み」しか構築できない中で、アメリカは「世界の警察官として行動」し、日本はそのアメリカの活動に対して、自衛隊による後方支援などを行ってきたわけです。

 こうした「有志連合の中での日米同盟」は、国内世論の分裂による政治の不安定化を招いていたわけで、それが正常な方向に向かうというのは悪いことではないと思います。それよりも何よりも、今回の米ロ合意で「ソチ五輪の成功」の可能性は高まったわけで、これは2020年の東京五輪を成功させるためにはプラス要因であると考えられます。

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