ビットコイン in 中国 - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り
ニューズウィーク日本版 / 2013年12月23日 23時3分
伝統的金融の観念からすればかなり不自然で危なっかしい。だが、国境という壁を超えて自由に行き来することを意識し始めた、アナーキーな人たちにとって、国という枠にとらわれることのない理想的な構造だ。そして、レストランで食事をしていても、隣のテーブルから移民話が聞こえてくる中国においてこれほどぴったりな蓄財方法はない。その昔、中国の移民たちは現地通貨を大量に黄金に変えて肌身離さず持ち歩いていた人たちなのだから。
だが、というか、やっぱり、というか、中国当局は11月中旬以降にアメリカが規制するらしいという情報が流れだした頃から国内の規制に向けた動きを見せ始め、まず今月5日に政府の銀行、証券、保険、IT管理当局、そして中央銀行の連名でビットコインの国内での取り扱い規制を発表。さらに先週16日、国内の第三者決済関係者を集めて、国内商取引における通貨としてのビットコイン取り扱い禁止を通達した。それを受けて、ビットコイン市場は大暴落、一時は2700元(同約4万7千円)台となった。だが、これを書いている23日6時(北京時間)現在、3683元(同約6万3千円)まで小幅ながら持ち直している。
明らかに今回は中国政府の介入による暴落だが、これでビットコイン人気は消えていくのだろうか? ある意味、過熱しやすいという不安定要素を持つ中国市場から一旦離れたほうが、ビットコインの将来はもっと開けるのではないだろうか、という気もしないでもないのだが。この辺はプロのアナリストの分析を待ちたいものである(それによってはわたしも購入を考えるかも)。
ところで先日、偶然知り合ったビットコイン投資家と雑談したのだが、それでも中国国内にはビットコインを使える商店が残っているという。「彼らはきっとそれを人民元に替えるつもりはなく、ビットコインの将来性を信じて世界通貨として使い続けるつもりなんだろう」とその人物は言った。確かに、慌てて現金化する人たちにとって中国政府のお達しや暴落は手痛い現実だろう。だが遠い将来を見据えれば、人民銀行副総裁が言うように「啓蒙的な案件」だ。
中国当局はこれまで、ツイッターやフェイスブックなど国境を超えて海外でつながるプラットホームへの国内からのアクセスを次々とブロックする一方で、その人気を見据えて国内で独自サービス誕生を奨励するスタイルを採ってきた。もしかしたらこのビットコインにも同様の手段を使って、「国内専用バーチャル通貨」を生み出したりするのだろうか? しかし、それでもツイッターやフェイスブックを諦めずにわざわざ壁を超えて海外とつながるという中国人もいる。そんなアナーキーさがビットコインの基本でもある。
そういえば、前述のビットコイン投資家氏の話によると、中国最大のビットコイン取引所は上海在住のボビー・リー氏が開設した「BTC China」だが、ビットコインと同じ概念から生まれたもう一つのバーチャル通貨、ライトコイン(Litecoin)はなんと、このボビー氏の兄弟が創りだしたという。なんだか、そこにも一筋縄ではいかないアナーキーさを感じるのは、わたしだけだろうか?
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