中国的歴史認識とポピュリズム - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り
ニューズウィーク日本版 / 2014年4月26日 18時45分
この蛟龍号プロジェクトは中国産マイクロブログ「微博」にも公式アカウント「蛟龍深潜」を開いている。そこでプロジェクトチームが世界的にもトップの有人深海潜水艇であることをやる気満々で国民にアピー ルするはずだった割には、今回注目されてから「これまで書き込んできた数々の自慢話を一切消してしまった」という指摘もなされており(アカウントでは「担当者が忙しくて更新出来ていない」と弁明)、鼻息が荒かった割にはなんとなく尻すぼみな感じに中国人ネットユーザーも呆れ顔だ。
軍事オタクの多い中国のネット界隈でこの潜水艦の話題が今後むき出しになっていくのだろうか、それはそれで面白い......と思っていたところ、船続きで今度は商船三井のバルカー船が上海の法院(裁判所)に差し押さえられたというニュースが流れてきた。2010年にも日本のレアアース輸送船が上海で差し押さえられたが、あれは明らかに同年起こった、尖閣沖での漁船と巡視艇の衝突事件がヒートアップしたものだった。それから考えれば、やはり今回は悪化し続ける日中関係の感情的もつれが背景にあるのは間違いないだろう。
上海の裁判所によると、この差し押さえはもともと2007年に中国の元船会社オーナー家族(以下、中国側船会社)からの訴えにもとづいて行われた裁判で、商船三井に29億円相当の賠償金支払い命令が下りたものが発端だと説明している。判決に対して商船三井側が控訴したものの、2010年に控訴が棄却され、11年に裁判所が「執行通知書」を発行したにも関わらず、支払いが行われておらず、その結果商船三井所有のバルカー船「バオスチール・エモーション」号を差し押さえたとされる。
中国側船会社の訴えとは、同社は1936年に商船三井の前身企業に1年間の契約で2籍の輸送船を賃貸したが、賃貸料が支払われないままに輸送船は商船三井の前身から日本軍に徴用されてその後撃沈されたため、その賃貸料と撃沈された船の経済的補償を求めていた。訴えられた商船三井側は、船が結果的に日本軍に徴用されたことからその求めは「戦時賠償」の範囲にあたり、日中共同声明の第5条「中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」によって賠償に応じる必要はないはずという判断を示していた。日本のメディアの論調も基本的に商船三井側の視点に立って報道している。
この記事に関連するニュース
-
諫早湾干拓事業 営農者側が求めた損害賠償と堤防排水門の開門 福岡高裁が控訴棄却
RKB毎日放送 / 2024年4月17日 14時0分
-
諫早の農業被害、二審は請求棄却 高裁、長崎地裁の賠償命令変更
共同通信 / 2024年4月17日 13時43分
-
5年前の大規模買収事件を巡る元・広島市議の控訴審 裁判所が控訴棄却 広島
広島テレビ ニュース / 2024年4月16日 18時29分
-
メーガン妃が異母妹に提訴された名誉棄損訴訟 3月に棄却も控訴したことが判明 新たな裁判も
東スポWEB / 2024年4月10日 15時8分
-
韓国軍はベトナム戦争で民間人を虐殺したのか?認める司法、否認の政府 映画「国際市場で逢いましょう」が触れた、派兵を巡る韓国の分断
47NEWS / 2024年3月24日 10時0分
ランキング
-
1イスラエル、イランに反撃 中部の空軍基地標的か
共同通信 / 2024年4月19日 21時12分
-
2襲撃された邦人5人、日系企業の駐在員で車列を組んでの通勤中…パキスタン
読売新聞 / 2024年4月19日 23時56分
-
3ミャンマー国軍、ロヒンギャ1000人以上を強制動員…「人間の盾」に利用か
読売新聞 / 2024年4月20日 7時39分
-
4ロシア防衛産業支援と中国批判=「主要な貢献者」と懸念―米長官
時事通信 / 2024年4月19日 23時10分
-
5中国軍に「情報支援部隊」新設 習氏主導の戦略支援部隊は廃止
産経ニュース / 2024年4月19日 22時51分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください