1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

虚妄の「加害者意識」が生む日韓の憎悪の悪循環 - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2014年10月1日 19時32分

 在日が戦後、日本国籍を失ったのは、戸籍制度で朝鮮人を別扱いしていたためだ。これが彼らの被害者意識を生み、日本人の側では「日本に加害責任があるのだから、帰化しなくても選挙権を与えるべきだ」という社民党などの意見を生んだ。しかし最近発見された外交文書では、韓国側が「ポツダム宣言の受諾と同時に日本国籍を離脱した」と主張していたことが判明した。

 1948年に韓国と北朝鮮ができたころは、彼らは「抗日戦争に勝利した」と自称し、サンフランシスコ条約でも「戦勝国」の扱いを求めた。もちろんそんな実態はなかったので連合国に認められなかったが、彼らは国内向けには「日帝36年」という歴史を教えている。ここから「在日はすべて強制連行されて国籍を奪われた」とか「慰安婦が強制連行された」という神話ができた。

 日本人の中にも「日帝36年」を信じている人がかなりいるが、それは間違いである。韓国は1910年に正式の条約で日本の領土になり、日本の敗戦で独立したのだ。その植民地支配も朝鮮から搾取したわけではなく、むしろ大赤字だった。戦後、在日の人々がいろいろな差別を受けたことは事実だが、彼らが母国に帰らなかったのは、90年代まで軍事政権で、経済的にも貧しかったからだろう。

 終戦直後にいろいろ混乱があったことも事実なので、過渡的な措置としては特別永住者というのはやむをえなかった。その他の「逆差別」も彼らのハンディキャップを補正する意味があった。しかし今は在日にも同和にも差別はほとんどなくなり、むしろ逆差別の弊害が目立ってきた。特別扱いをやめようとする自治体も多いが、圧力団体の反対を受けてずるずると続いている。これは特権というより役所の事なかれ主義なのだ。

 戦後70年たち、戦時中の「加害責任」の当事者も少なくなった。日韓関係でいえば、そもそも加害の実態がほとんどない。それなのに在日を特別扱いすることが在特会のような偏見を生み、それが韓国の反発を呼ぶ悪循環が広がっている。朝日新聞の慰安婦誤報は、そういう虚妄の加害者意識が暴かれた事件ともいえる。これを機会に「戦後」を卒業し、アジア諸国とも未来志向で話し合ってはどうだろうか。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください