日中韓関係と日本の課題
ニューズウィーク日本版 / 2015年11月6日 17時30分
朴槿惠は、大統領になる前から胡錦濤国家主席と会談しており、しかもそのときは中国語で会話し、くだけた雰囲気の中で食事を共にしたりしている。
その朴槿惠が大統領になってからは、中韓蜜月度は、双方から急激に濃厚となってきた。中国は西側陣営から韓国を切り離し、歴史問題で国際世論を形成する絶好のパートナーとして韓国を積極的に「活用(利用?)」し始めた。
オバマ大統領に、これ以上中国接近を続けるのなら、果たして米韓軍事同盟はどうなるのかといった趣旨の、韓国の覚悟のほどを朴大統領に問い詰めているとのこと。米中の間に挟まれた朴槿惠大統領は、「それも困るし」ということで、いやいやながら、日韓首脳会談を、日中韓首脳会談という場を口実として開催したのだろう。それは少しでも親日的色彩を見せると、韓国国民から売国奴と罵られる危険性を回避した、せっぱ詰まって選択であったと判断される。
何しろ朴槿惠大統領の父親・朴正煕(パク・チョンヒ)(元大統領)は、かつて日本の元陸軍士官学校を優秀な成績で卒業した親日派。それゆえに暗殺されている。母親も暗殺された。だから朴大統領としては、親日色を強めれば、自分も暗殺されるであろうことを知っているので、米中の狭間で揺れ、特に安倍首相との会談を避けてきたものと判断される。
それでも、ようやく行なった日韓首脳会談は、あまりに中国と日本への対応を鮮明に分け過ぎた、非礼とも言えるものとなっている。
このようにギクシャクとした日韓関係は、やはり、いわゆる「慰安婦問題」で溝を残したままだ。
ちなみに、筆者が2000年に日中韓の若者の意識調査を行なおうとしたとき、韓国側から「ぜひとも慰安婦問題に関する若者の認識」という項目を入れてくれという強い要望があった。その要望を中国側に伝えたところ、中国側の教育機関の教員は、「えっ? 慰安婦問題って何のこと?」と尋ね、「教員さえ知らない項目を、若者の意識調査に入れてもらっては困る」と筆者に抗議したものだ。それくらい、2000年の段階においても、中国ではまだ「慰安婦問題」というのは、大きな歴史問題として認識されていなかった。
それを今では、中韓両国が連携して、ユネスコの世界記憶遺産に登録しようとしている。
日本の課題と今後
さて、最も難しい日本の課題と今後に関して言及しなければならない。
以下、箇条書きにしてみよう。
1. どんなに日中韓関係の改善を試みたところで、中韓、特に中国が歴史問題を引き下げることは絶対にない。日本は、そのことだけは覚悟しておかなければならない。
この記事に関連するニュース
-
中国・習近平主席、フランス・セルビア・ハンガリーの欧州3か国歴訪に出発 アメリカけん制狙いか
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月6日 0時17分
-
中国・習主席、5年ぶり訪欧出発 対ロ関係、通商政策が焦点
共同通信 / 2024年5月5日 15時4分
-
日中改善の動き足踏み=要人往来なし、処理水解決見えず
時事通信 / 2024年4月30日 14時43分
-
「日米蜜月」アピールと裏腹に進む「外交の新潮流」 内政に翻弄される岸田首相の「次なる外交課題」
東洋経済オンライン / 2024年4月16日 8時30分
-
イエレン米財務長官が訪中。日本を取り巻く「最大マクロ」の行方
トウシル / 2024年4月11日 7時30分
ランキング
-
1イスラエル、テレビ局アル・ジャジーラの支局閉鎖を閣議決定…警察が機器を押収
読売新聞 / 2024年5月5日 23時26分
-
2フランス、ロシアの偽情報に危機感 マクロン大統領の部隊派遣発言後…核兵器「議論用意」
産経ニュース / 2024年5月5日 17時16分
-
3「第2、第3の制裁パネルを仕立てても死滅の運命」 北朝鮮国連大使が日米韓を牽制
産経ニュース / 2024年5月5日 15時1分
-
4ガザ休戦交渉、平行線か イスラエル、戦闘終結拒否
共同通信 / 2024年5月6日 0時51分
-
5習主席の妻、軍の審査委員就任か 香港紙報道、SNSに写真出回る
共同通信 / 2024年5月5日 23時20分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください