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習主席、アフリカをつかむ――ジブチの軍事拠点は一帯一路の一環

ニューズウィーク日本版 / 2015年12月7日 17時8分

「10大合作分野」は「工業化、起訴設備、環境保護、農業の現代化、医療衛生、貧困撲滅、貿易投資、人的交流、平和安全」など、多岐にわたる。

 2014年の中国アフリカ間の貿易高は2220億ドルに上っている。中国の報道によれば、そのアフリカ諸国、約50か国の首脳や代表がこのサミットに参加したという。中国だけを対象として提携するプロジェクトなので、中国はほぼアフリカ全域を掌握したと言っても過言ではないだろう。

 特に「10大合作計画」の中に「平和安全」という項目があるのは注目に値する。

ジブチに中国海軍初の軍事拠点建設――「一帯一路」の一環

 サミットの開幕式があった前日の12月3日、習近平国家主席はヨハネスブルグにおいて、ジブチ共和国(アフリカ東北部にある国)のゲレ大統領と会談した。この模様は中央テレビCCTVで大々的に報道されていた。

 一方、11月26日には、中国外交部と国防部は北京で共同記者会見を開き、「中国とジブチは、ジブチに保障施設を建設することに関して協議している」ことを公表している。

 実は今年3月末、中国とジブチの間には互いに助け合った事件が起きていた。内戦の続くイエメンで中国海軍の軍艦は3月29日と30日にイエメンに滞在する中国人571人を救出しイエメンから撤退させたのだが、4月2日にはパキスタン人、エチオピア人、イタリア人、ドイツ人、イギリス人...など合計225人の救助に関しても要請があったので、中国海軍の軍艦は外国人をも救助し、イエメンから撤去させることに成功した。

 軍艦が港を離れた直後にイエメンで武力衝突が起き内戦が勃発。間一髪だった。

 このとき習主席は中央軍事委員会主席としての力を発揮し、自ら直接指揮を執って緊急行動に出たことは、内外に高く評価されている。

 これが可能だったのは、ソマリア沖の海賊対策に対して、中国海軍の護衛部隊が常にアデン湾に待機していたからである。さらには胡錦濤政権時代と異なり、習近平政権においては、中央軍事委員会副主席および中央軍事委員会委員らを、習主席が掌握しているからでもある。2011年に同様のことが起きているが、当時の胡錦濤国家主席は中央軍事委員会の主席でありながら、実権を握っていなかったため、自ら指揮をしていない。胡錦濤が中央軍事委員会で実権を握ったのは、第18回党大会が近づいた2012年後半からで、この時にはすでに江沢民派の徐才厚や郭伯雄ら中央軍事委員会副主席が党大会前に降格させていた。

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