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習主席、アフリカをつかむ――ジブチの軍事拠点は一帯一路の一環

ニューズウィーク日本版 / 2015年12月7日 17時8分

 ところで12月3日にゲレ大統領と会った習主席は、まずは今年3月末から4月初めに起きたイエメンにおける救出劇において、ジブチ共和国が中国を支援してくれたことに関して謝意を述べた。同時に中国軍艦のソマリア沖海賊対策に対するジブチ共和国の日ごろからの支援に対しても感謝の意を表した。

 さて、ここからが肝心だ。

 習主席はゲレ大統領に、中国が提唱する「一帯一路」の中の、「21世紀の海のシルクロード」に協力を願いたいと申し出た。

 そして港湾に「平和安全のための保障施設建設」を約束したのである。

 もちろん「10大合作計画」を含む総計600億ドルの投資対象の中にジブチもあり、さらに港湾のインフラ建設も特に重視する。
12月4日、ジブチのユスフ外相は、ストレートに「中国海軍の軍事拠点がジブチに建設される」ことを明らかにしており、イエメン事件があった後の今年5月、ゲレ大統領は軍事基地建設に関して中国と話し合っていることを表明している。

 ただし中国は決して「軍事拠点」とは言わずに、あくまでも「平和安全のための保障施設」としか言ってないが、中国海軍の保障施設なので、要は軍事拠点なのである。

 ジブチはアデン湾と紅海を結ぶ中継点にあり、隣国にはソマリアやエチオピア、対岸にはイエメンがあるという重要な航路の要所だ。この位置に関しては毎日新聞が提供している地図が分かりやすい。

 アメリカもフランスも日本の自衛隊もまた、ジブチには軍事拠点に近い存在の施設を持っている。そこに中国も加わろうというだけで、これを「中国の軍事覇権」と批判することはできない。イエメン事件で外国人の救助を間一髪で成し遂げたのだから、その功績が評価されるのは当然のことだろう。
ただ、何が違うのか――?

 それはジブチが「一帯一路」の「海の新シルクロード」の中継地点であるということだ。 

 中国より西側の西半球全てを覆うような一帯一路の地図をご覧いただきたい。

 アデン湾から紅海へ、そしてスエズ運河を渡って地中海へとつなぐ「海の新シルクロード」。この重要な要塞の一つがジブチなのだ。

 600億ドルの拠出金もジブチも、一帯一路に込められた「中国の夢」と「中華民族の偉大なる復興」という政権スローガンの具現化の一つなのである。アフリカは政治的な不安定から経済発展が遅れているが、しかし石油の埋蔵をはじめ、コバルト・白金(世界の90%)や金(50%)、クロム(98%)、コルタン(70%)、ダイヤモンド(70%)など、資源大陸だ。ここは実は宝の山。一帯一路戦略で安全保障を兼ねながら、この大陸を「つかむ」習近平政権の戦略を見逃してはならない。

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