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オリンピックと建築家

ニューズウィーク日本版 / 2015年12月24日 12時12分

 かくして丹下健三の代々木オリンピックプールは実現し、二〇世紀後半を飾る世界の名作となった。

 国や時代の記念碑が実現するまでの有為転変、右往左往は、今も昔も変わらない。建築家は、こちら側の岸辺からそうした濁流に飛び込み、泳ぐしかない。向う岸まで泳ぎ切れるか溺れるかは、本人の力と案の良し悪しにかかる、と向うの岸辺に立つ建築史家としては言うしかない。

[筆者]
藤森照信(東京大学名誉教授)
1946年生まれ。東京大学建築学専攻博士課程修了。東京大学生産技術研究所教授、工学院大学建築学部教授等を歴任。専門は建築史学。著書に『建築探偵の冒険・東京篇』(筑摩書房、サントリー学芸賞)、『タンポポ・ハウスのできるまで』(朝日新聞社)、『天下無双の建築学入門』(筑摩書房)、『歴史遺産 日本の洋館』(講談社)など多数。

※当記事は「アステイオン83」からの転載記事です。





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『アステイオン83』
 特集「マルティプル・ジャパン――多様化する『日本』」
 公益財団法人サントリー文化財団
 アステイオン編集委員会 編
 CCCメディアハウス



藤森照信(東京大学名誉教授) ※アステイオン83より転載


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