「ウクライナ」を創るプーチン
ニューズウィーク日本版 / 2015年12月28日 11時58分
というわけでロシアは嫌われEUやNATOへの期待は高い。だが国際政治が好き嫌いだけでやっていけるはずはない。EUはウクライナ問題でロシアを非難はしても、ロシアとの決定的な関係悪化を望むまい。また仮にウクライナがNATOに加盟しても、アメリカ人は、組織だった抵抗もせずにクリミヤで屈したウクライナを守るために、はたして命をかけるだろうか。この国の人々は、国際政治の力学を見極めつつも、団結して独立と自由を守る覚悟はあるのだろうか。そんなことを心配しながら展示を見ていると、ふと安保法制で憲法論議に終始する日本のことを思い出した。
[筆者]
田所昌幸(慶應義塾大学法学部教授)
1956年生まれ。京都大学大学院法学研究科中退。姫路獨協大学法学部教授、防衛大学校教授などを経て現職。専門は国際政治学。著書に『「アメリカ」を超えたドル』(中央公論新社、サントリー学芸賞)、『ロイヤル・ネイヴィーとパクス・ブリタニカ』(編著、有斐閣)など。
※当記事は「アステイオン83」からの転載記事です。
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『アステイオン83』
特集「マルティプル・ジャパン――多様化する『日本』」
公益財団法人サントリー文化財団
アステイオン編集委員会 編
CCCメディアハウス
田所昌幸(慶應義塾大学法学部教授) ※アステイオン83より転載
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