【2016年注目の動き】自動運転車と配車サービス、小型ドローン、VR
ニューズウィーク日本版 / 2016年1月5日 17時0分
配車サービス分野では、昨年ウーバーが中国に進出したのをきっかけに、ウーバーに対抗する大手各社の提携が活発化している。具体的には昨年初めまで中国市場で競合していたディディとクァイダイの大手2社が2月に合併、さらに昨年12月にはこのディディ・クァイダイ(Didi Kuaidi)とインド最大手のオラ(Ola)、東南アジア各国で事業展開するグラブタクシ(GrabTaxi)、それに米リフトが、サービスの相互乗り入れなどを含む業務提携を発表。またディディがリフトやタクシグラブに出資して・・・といった具合だが、このリフトに楽天が出資していたり、あるいはソフトバンクがディディやオラにも出資していたりもするので、一概に「海の向こうの話」とは片付けられない。
いっぽう、ウーバーは中国進出にあたって検索大手のバイドゥと手を組んでいる。バイドゥは中国国内をカバーする地図データを有し、また3Dマップ技術も開発。バイドゥのこの技術にアクセスするために同社と組んだとされるBMWは、ノキアからHEREという地図事業を買った独大手自動車メーカー3社のひとつでもあるが、自動運転車に関していまのところドライバー(人間)の存在を前提とするBMWと、人間のドライバーなどないに超したことはないウーバーとは究極的に利害が相反する。そうした点からこの3社の間でどういった協力あるいは棲み分けがなされるのかなども注目したいところだ。
ちなみに2014年の世界の自動車販売台数は小型車だけで約8900万台で、そのうち中国が年間2350万台、米国が1670万台というデータがある。この2つの市場を合わせるとそれだけで全体の4割を超える計算だが、それぞれの市場で急速に存在感を増す配車サービスが長期的に自動車メーカーの売上にどういう影響を及ぼすことになるのか・・・この疑問に対する答えの手がかりはあいにくまだ目にしていない。
なお、上記の配車サービス4社には米・中・露・インド・アラブなど世界中から資金が流れ込んでいて非常に興味深いが、これについては改めて整理してみたい。
今回のCESでは、GMのCEOに加えて、ディーゼル車の排ガス問題で注目を集めるVWのCEOも基調講演を予定。また個人的には、トヨタが展示予告を出していた「クラウドソース式地図データ収集技術」の中味や、以前に紹介したファラデイ・フューチャー(中国LeTV創業者が支援する米EVベンチャー)がどんなプロトタイプを発表してくるかも気になるところ。
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