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台湾民進党圧勝を中国はどう見ているか?――中国政府公式見解と高官の単独取材

ニューズウィーク日本版 / 2016年1月17日 18時12分

 Q1:蔡英文氏の当選をどう思っているか?
 
 A1:民進党は党規約に台独(台湾独立)を書いているので、蔡英文がどんなに「現状維持」と言っても、中国は信じていない。ただし、5月までは馬英九が総統なので、決定権を持っていないため、何もできないだろう。しかし陳水扁(2000年から2008年まで総統に就任)より、蔡英文の方が台独に関しては強固な意志を持っている。能力も高い。だから中国は決して安心してはいない。

 Q2:「九二コンセンサス」に関しては?

 A2:蔡英文は「九二コンセンサス」を受け容れてないので、両岸交流はスムーズに進むはずがない。「九二コンセンサス」を認めなければ、蔡英文は必ず窮地に追い込まれる。台湾経済は破綻し、すぐに下野せざるを得なくなる。なぜなら台湾経済は大陸への投資と市場によって成り立っており、これなしに台湾経済は存続しえないからだ。中国はこの日のために、早くから中国大陸における台商(台湾商人)に便宜を図り、「九二コンセンサス」を認めれば優遇し、認めなければひどい目に遭うことを(思い)知らせてある。

 Q3:「九二コンセンサス」を認めない場合は、中国は具体的にはどういう行動に出るのか?

 A3:数え上げればキリがない。

 ・たとえば福建省にある両岸自由貿易区は、国共(国民党と共産党)両党の協議の下で行なわれているものだが、民進党が国民党の意思と政策を引き継がなければ、大陸は台湾地区に便宜を図らないだろう。

 ・航空や旅行に関しても、大陸は同じように台湾地区に制限を設けることになる。それにより、台湾経済がどれだけ困窮するかは、一瞬でわかるはずだ。

 ・さらに亜投行(アジアインフラ投資銀行、AIIB)への参加に関しても不可能になるだろう。台湾は中国の一地方政府なので、「創始国」の仲間入りをすることは許されなかったが、正式に成立した後なら、「国」としてではなく、一地方として加盟申請をすることができる。しかし「九二コンセンサス」を認めなければ加盟申請を受け付けない。台湾も馬英九のときとは違い、申請してこない可能性もある。TPPに入れば、これで決裂だろう。

 ・サービス貿易協定に関しても、大陸は台湾に開放しているが、台湾は大陸に開放していないという、いびつな「一方向性」でしかない。台湾の若者の抗議により台湾立法院で批准されないままになっているが、これぞまさに民進党が進める非協力的姿勢に若者が乗っかったもので、こういう事態があらゆる分野で起きるということだ。

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