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台湾民進党圧勝を中国はどう見ているか?――中国政府公式見解と高官の単独取材

ニューズウィーク日本版 / 2016年1月17日 18時12分

(筆者注:この因果関係は逆で、大陸に呑み込まれるのを嫌った若者が自主的に行動し立法院を占拠して「ひまわり運動」を展開した。民進党も声援を送っただけで、民進党が組織したものではない。その若者の「本土意識(台湾人アイデンティティ)」こそが、今般の民進党の圧勝を招いている。)

 Q4:民進党は密使を北京に派遣したように聞いているが...。

 A4:もちろんだ。昨年の早い時期に台湾弁公室に民進党の人物を派遣して相談にやってきた。だから大陸は絶対に「九二コンセンサス」を堅固しなければならないと言ってやった。そのことは民進党も分かっているはずだ。昨年シンガポールで習馬会談(習近平国家主席と馬英九総統の会談)を行なったが、あれが何のためだったと思っているのか! あれはあくまでも蔡英文に対して与えた授業だ。彼女に授業に出させて、天下を取った時にはどうすればいいかを思い知らせてやるためだった。

 大陸は早くから台湾の民進党が優位になるだろうことは分かっていた。だからこそ、去年の9月3日に、あえて軍事パレードを行って、台湾に「教訓」を与えたのだ。それでも島民(台湾の国民)は目覚めなかった。愚かなことだ。

 Q5:では、もし台湾が独立に向けて動いた場合は?

 A5:反国家分裂法は、なんのためにあると思っているんだい?中国人民解放軍がたちどころに台湾海峡を封鎖して台湾を「孤島」いや、「死島」にしてしまうだろう。両岸問題は中国にとって最優先課題であることは、知っているはずだよね?

(筆者注:反国家分裂法は「もし台湾が独立に向けて動いたら、中国は武力を行使してそれを阻止する」という趣旨の法律で2005年に制定された。中国語では「反分裂国家法」と称する。)

 Q6:もちろん承知している。しかし紛争が起きたらアメリカが台湾関係法を行使するのでは?

 A6:アメリカは台湾の独立も大陸による統一も願っていない。アメリカもなかなかずるくて、現状維持が一番アメリカに有利だと思っている。だから蔡英文をしっかり教育しているはずだ。アメリカは大陸とも水面下では交渉に来ており、中米関係を重んじている。中国との間に争いが起きることをアメリカは望んでいない。

(筆者注:「台湾関係法」とは1979年1月1日に米中国交正常化が正式に樹立されたときに、中華民国との国交を断絶に伴い、「米華相互防衛条約」の内実を維持するために同年4月に制定された国内法。アメリカはダブルスタンダードを取っており、同法により台湾防衛のための台湾への武器輸出を容認するとともに、「台湾の安全を脅かすいかなる武力行使あるいは他の強制的な方法に対抗し得る防衛力を維持し、(アメリカは)適切な行動を取らなければならない」となっている。)

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