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どんなにサービスが悪くても、チップは15%払うべし

ニューズウィーク日本版 / 2016年1月25日 15時42分

 一方で、一部のレストランがチップ制廃止に踏み切ったのは、1つにはサーバーというよりキッチンで働く厨房スタッフを考えてのことだという。

 アメリカの連邦法はプールされたチップを厨房スタッフやマネージャーと分配することを禁じており、客が「料理に満足」してチップを上乗せした場合でもシェフの懐には入らない(これは少なくとも建前上で、実際には違法な分配もまかり通っているようだが)。特にチップが高額になる高級レストランでは接客職の収入が厨房スタッフの収入をはるかに上回ることがあるため、収入格差を是正する意味でもすべてのスタッフを時給制に変えたいそうだ。

 またもう1つの理由は、ニューヨーク州が定めるファストフード業界の最低賃金が2018年までに15ドルに上がるなか、高級レストランの厨房スタッフの時給がその額に追いつかなくなること。例えばマイヤーの店の1つで昨年ミシュラン2つ星を獲得した「ザ・モダン」では、厨房スタッフの平均時給はなんと11.75ドル。チップ制を廃止してスタッフ総時給制にすることで、これをファストフードと肩を並べる15.25ドルに上げていくという。

 気になるチップ廃止の動き、今後はニューヨークで加速し、さらには全米へと広がっていくのだろうか。

 マンハッタンで行列のできるモツ鍋の人気店「博多トントン」を経営するヒミ・オカジマ氏は、「この街で、チップ廃止は根付かない」と予想する。博多トントンでは一度チップ制を廃止し、昨年秋にまたチップ制に戻した。チップというアメリカ文化には「長所も短所もある」が、サーバーにとってはチップ制のほうががんばった分だけ報われるというアメリカ流のやりがいがあるし、客にとっては「これ(サービス)に対してお金を払う」というのが見えやすくていいからだ。

 いずれにせよ、今すぐアメリカでチップ制が全廃されることはないだろう。客はしばらくチップと付き合っていかなければいけないとして、スマートなチップの払い方というのはあるのだろうか。

●チップは現金払いのほうが喜ばれる?

 サーバーに言わせればこれはイエス。カードで支払われるとサーバーの収入のうちチップにも課税されるし、カードの手数料を店側に引かれることもあるからだ。

●カードで支払う場合にチップを含めた合計額を「丸める」、つまりゼロで終わる額に計算するべき?

 飲食業界関係者に聞いてみたところ、店側にとってはどちらでも良く、客にとってカードの明細上がすっきりするだけだそうだ。逆に「迷惑」なのは、チップの欄に何も書かずに「チップを加算した合計金額だけを書く客」。これだと店側がチップの額をわざわざ算出してレジで打ち込む手間がかかるので、客には頑張って計算してほしいとか。

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