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<ニューハンプシャー州予備選>左右のポピュリストを勝たせた米政界への怒り

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月10日 16時10分

 スピーチでヒラリーは、「人々が現状に怒っているのはよくわかる。だが、その解決法を知っているのは私だけだ」と胸を張り、ワシントン政界への「アンチ」に大きく流れる民意を自分への支持に誘導しようと必死の訴えをしていた。

 一方でサンダースの勝利演説は、例によって威勢は良かったし、支持者の盛り上がりもあったのだが、内容が前回の繰り返しで新味がなかった点が気になる。ヒラリーとの20ポイントの差をどう評価したらいいのか、サンダース人気が「全国区のホンモノ」なのかどうか、次のサウスカロライナとネバダでの結果を待たなければ判断はできない。

【参考記事】アイオワ州党員集会 共和党は正常化、民主党は異常事態へ

 共和党のレースはもっと複雑だ。まずトランプだが、アイオワの敗戦に続いて、このニューハンプシャーでの敗戦は「命取り」になるという見方があった。しかし蓋を開けてみれば、35%を獲得して断トツの一位をキープ(集計率92%時点)。出口調査では、中間層からも右派からも、富裕層からも貧困層からも、とにかく幅広い支持を集めており「旋風」は当分続きそうな気配だ。

 その一方で注目されたのがマルコ・ルビオだ。アイオワでの20%超獲得は事前の予想を上回るもので、「エスタブリッシュメント(既成の政治家)候補の代表」として、ニューハンプシャーでは無党派層の票も含めて急上昇が期待されていた。

 しかし直前の先週6日に行われたテレビ討論で、オバマ大統領への批判の「決めゼリフ」として、まったく同じフレーズを4回も繰り返したことから、ニュージャージー州のクリスティ知事に突っ込まれ、「ロボットのように同じ言葉を繰り返している未熟な候補」というマイナスのイメージが拡散することとなった。

 ライバル候補の支持者と思われる「アンチ・ルビオ」の活動家が、段ボールで作った「ロボット・ルビオ」の着ぐるみをまとって投票当日も出没し、メディアは面白おかしく取り上げ続けた。この問題に関するダメージコントロールをする時間はまったくなく、結果的には5位に沈んで「アイオワの勢いは帳消し」という評価になった。

 共和党では、ルビオが沈んだ一方で、オハイオ州のケーシック知事が急浮上して注目されている。選挙戦当初から「トランプ氏は候補失格」だと、ブーイングを浴びても言い続けてきた気骨ある政治家だ。人情味あふれるアドリブのトークや、民主党から共和党に鞍替えした過去を持つ「逃げ隠れしない中道路線」などから、今回の選挙戦の中では異質の存在だったが、16%を獲得しての2位は、今後につながる大きな戦果だ。ニューハンプシャーの有権者の「琴線に触れた」のは事実だろう。

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