はったり営業もしていた若き起業家の「失敗論」
ニューズウィーク日本版 / 2016年4月11日 18時46分
経営の世界は、試行錯誤によって正解を得られるようなところだと思っている人が多いと思いますが、本当のところは違います。トライ&エラーの精神は、起業の世界では実はあまり評価されません。
例えば、9年という歳月をかけて、3年ごとに3回起業し、3回とも失敗してしまった人がいたとします。本人はトライ&エラーのつもりだったのかもしれませんが、9年もの時間をかけて3度も失敗するような挑戦の仕方は絶対に改めなくてはいけません。時間は有限ですし、起業の回数を重ねるごとに、その起業家に資金を提供する人は減っていきます。
【参考記事】「独立から起業へ」飛躍するために必要なこと
さらに、これは持論ではありますが、失敗から学べることはありません。唯一あるとすれば、3回失敗した後にやっと成功した時点でどうにか4回分の起業の経験値を得られるのであって、失敗を繰り返すばかりでは学びという点で得るものはないのです。
とはいえ、失敗をゼロにすることは不可能です。では、失敗を繰り返さないためにはどういうことを心がけていけばいいのでしょうか。次に3つのことを提案してみたいと思います。
(1)分野を決めて知識増強を行う
知識が不足していると思う分野を選び、重点的に知識を増やすようにしてください。会計の知識、法務的な知識、M&Aの事例の検証、IT企業のビジネスモデルの研究といったテーマを設定し、ある程度の時間とお金を投資して、じっくりと知識を深めていきましょう。間違っても自分の得意分野の知識習得に励まないことです。可能であれば、その分野の専門家に指導を頼んだり、すべての著作を読んだりして、集中的に知識を吸収するといいと思います。
自分が得意なことを学ぶのは快適で、心理学的にはコンフォートゾーンと言うようですが、そこではなく苦手なラーニングゾーンに意識を置くべきです。苦手なものがパッと思い浮かばない場合は、自分の業界の近隣業界の研究をするといいでしょう。特に、取引先の業界のコスト構造に習熟すれば、値下げ交渉も容易になりますし、M&Aなどの垂直統合のチャンスに気づくかもしれません。
(2)客観的な立場で自分を見直す
ビジネス上のカウンターパートの立場で、自分のスタイルを客観的に見直してみることも有益です。取引先の人間になったつもりで、自分のビジネススタイルを振り返ってみてください。つまり、将棋で言うところの「感想戦」をしてみるのです。
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