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個人の身の丈に合った「ナリワイ」で仕事と生活を充実させる

ニューズウィーク日本版 / 2016年4月21日 6時12分

 参加者の反応はむちゃくちゃいいですよ。「ここまで徹底していろいろ体験できる企画はない」「とにかく楽しかった。もう1回来たい」といった意見が多くて、リピーターも増えてきました。参加者同士の交流も醍醐味の1つで、職業も住む場所もバラバラだけど興味や関心を同じくする人たちが集まるので、すぐ仲良くなっちゃうんです。帰国後も交流があるみたいで、ツアーが出会いのきっかけを提供しているといえます。

 そういうフラットな場所をどうやって作るかというのもナリワイの隠れたテーマです。多様な人が交流して、しかも和気あいあいと楽しむことができればツアーのバリエーションも広がるし、僕自身も飽きずに続けられますしね。

モンゴル武者修行ツアーでは草原を馬で移動する。(写真提供:伊藤洋志氏/5点とも)

土窯パン屋のワークショップでは修了生による土窯作りもサポートする体制にしている。

 モンゴルの方々も希望に沿ったツアーが実現して喜んでくれています。ゲルに1週間滞在するということは半分ホームステイに近いんです。ツアーで羊の解体・調理や乳製品作り、羊毛からの糸作りなどすることは、スタッフや地元の人にとっても楽しいことだそうです。

 そういう地域密着型のツアーなので、参加申し込みがあっても本人の希望にそぐわなければ他のツアーを紹介してお断りします。収入の面では1人でも参加者が増えた方がいいんですけど、それよりも参加者と企画との相性を最優先します。最初の頃は参加者が少なくて赤字のこともありましたが、他にないツアー内容が看板となって最近は15人前後の参加者が集まります。収益の面でも安定してきました。

現地の暮らしを体験するので、実践的な学びになる

 他に通年で行うものでは、田舎で土窯パン屋を開きたい人向けのワークショップがあります(「熊野暮らし方デザインスクール――田舎で土窯パン屋を開く」)。1週間、和歌山県熊野市で土窯を使ってパンを焼くご夫婦の元に泊まり込み、小麦の栽培、製粉から土窯作り、パン作り、田舎暮らしの実際までを実地で学びます。僕は事務局として動き、受講受付と先生役を務めるパン屋さんとの日程調整を行います。

 年間10組くらいの参加ですけど、在庫や講師の人件費、教室の賃貸料などが発生しないのでリスクを低く抑えられます。在庫や固定費を減らすことはナリワイを続ける上で1つのポイントです。

【参考記事】シェアリングエコノミーで人をつなぐ、オランダ発のコワーキング

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