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個人の身の丈に合った「ナリワイ」で仕事と生活を充実させる

ニューズウィーク日本版 / 2016年4月21日 6時12分

 参加者の反応は良くて、受講後に3~4割が実際に田舎暮らしを始めています。専門学校でパン作りだけを学ぶのと違って、実際にパン屋をしている人の暮らしを見ながら学ぶので、より分かりやすくて実践的なんでしょうね。

 講師であるパン屋さんも受講生との交流を楽しんでくれていて、好評をいただいています。収入にもなるので、パン屋さんにとってもこのワークショップは1つのナリワイということになります。

一般人に分かりやすく技能を伝えることが仕事になる

 それから床張りのワークショップも通年で行っているナリワイです。床張りができるようになれば空き家を安く住まいにできるんじゃないかという思いから、床張りの特訓を思い立ったんです。1人で黙々とやるだけではつまらないので、「全国床張り協会」というふざけた名前の協会を作って同志を募ったら、これが結構いるんですね。「自分の家を修繕したい」「古民家を改修してゲストハウスを開業したい」「単に面白そう」など参加の動機はまちまちなんですが、ともあれ床張りの依頼があればそこを実践の場としてワークショップを行うことにしました。

 現状では月1回くらいの開催で、施主の方には材料費と難易度が高い場合に講師となる大工の日当を負担してもらいます。難しくない床張りなら僕が講師を務めます。受講者の参加料から経費を差し引いたものが僕の収入となります。

 参加者のメリットは床張りを実地で勉強できるということ。施主のメリットは費用を安く抑えられる、自分も一緒に床張りができるという2点が大きなところです。もう1つ隠れた要素としては、お店やゲストハウスを開業したい人にとって広報の一環になること。自分で床を張った建物って完成形を見てみたいんですよね。だから床張り参加者に「無事オープンしました」と報告すると、その人たちがお客さんとして来てくれる。多少なりとも集客の役目を果たしているわけです。もちろんビフォーアフターを見ることで、参加者も経験値を高めることができます。

全国床張り協会での活動の様子。三重県で若者がブックカフェを開くにあたり、その店舗の床張りをワークショップで開催した。

遊撃農家で梅の収穫・箱詰め・発送を行う伊藤氏。

 僕の役目は素人が作業に参加する中でも一定の質を確保することです。たまにめっちゃ不器用な人が来て指導に気を遣うこともありますけど、安く上がる分、必ずしも完璧にはいかない可能性があることを事前に施主に説明しておくことが重要です。施主も参加者も満足度は高いですね。

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