日本とエクアドルの巨大地震は、環太平洋火山帯の地震活動が活発化している結果かもしれない
ニューズウィーク日本版 / 2016年4月20日 19時0分
熊本地震は2010年にニュージーランドのクライストチャーチ近郊で発生したMw7.1の直下型大地震に似ている。
最初の地震ですでに建物の構造が被害を受けているだけに、余震によって更に被害が広がる危険性が増している。ただし熊本地震が発生したのはこれまでにも大地震による揺れが頻繁に観測されていた地域であり、今回のような大地震が発生する可能性はこれまでにも指摘されていた。
2016年4月16日に発生した南米エクアドル沿岸部を震源とするMw7.8の地震は、下位にあるナスカプレートと上位にある南米プレートの境界に面する衝上断層がずれた結果引き起こされた。
この地震の発生場所とメカニズムについては、二つのプレートの間にずれが生じて起きたメガスラスト地震が原因とみられている。
歴史的にも、エクアドルではこの種の地震が繰り返されてきた。1960年には、ナスカプレートと南米プレートがぶつかる境界上で史上最大のMwを記録したチリ沖地震が発生している。そうした経緯から、エクアドルでも将来大地震が起きる可能性があると指摘されていた。
1942年を最後に大地震を引き起こしたナスカプレートに蓄積されたエネルギーと比較すれば、日本で発生した地震がエクアドル沿岸部で懸念されていた地震を誘発した可能性は低いだろう。
日本とエクアドルの地震はいずれも規模が大きく多大な被害をもたらしたうえ、数日という短い間隔で発生した。二つの地震に関連性があるのではないかとメディアが注目するのも仕方ない。
しかし発生時間にずれがあることから、時間を根拠に二つの国で起きた地震に明確な因果関係があるとは判断できない。むしろ一連の地震は、地震エネルギーの放出が活発期に入った中で発生した、太平洋の周囲を取り囲む環太平洋火山帯の地震活動の一環とみるのが自然だ。
Mark Quigley is Associate professor, University of Melbourne
Mike Sandiford is Professor of Geology at the University of Melbourne.
This article is originally published on The Conversation.
マーク・クイグリー(豪メルボルン大学准教授)、 マイク・サンディフォード(同地質学教授)
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