ウェルビーイングでワークスタイルの質を高める
ニューズウィーク日本版 / 2016年5月26日 11時3分
日本のホワイトカラーの疲弊を改善、いかに知的生産性を上げていくか
企業のウェルビーイング推進のコンサルティングのため、あちこちのオフィスを調査していますが、今ホワイトカラーの人はものすごく疲れているという印象です。特に日本のビジネスパーソンは疲れ果てている。欧米ではパフォーマンス向上とかリーダーシップ強化を目的として研修が行われているけれども、日本のワーカーはそれどころではない。いかに疲れず、イライラせず、遠くまで行けるかということを大事にしたいというのが本音ではないでしょうか。
そして、どうしてこんなに疲れているのか、本人たちもよく分かっていないんですね。昔のように肉体労働をしているわけじゃないのに、なぜメールをやりとりしているだけでこんなに疲れるのか、と。
つまり、疲れの本質が昔と変わってきているということです。製造業が盛んだった昔は、職場といえば工場が主で労働・安全・衛生が求められました。今はホワイトカラーが増えて、いかにパフォーマンスを落とさないか、知的生産性を上げるかといった点にウェルビーイングの主眼が移っています。
肉体、感情、認知の疲れが複合的に組み合わさっている
現代のホワイトカラーの疲れを細分化すると、肉体の疲れ、感情の疲れ、認知の疲れに分けられます。
肉体の疲れは、例えば正しくない座り方から来ることもあります。姿勢が悪いと首や肩、腰が痛くなりますよね。座ってデスクに肘を置いたときに90度ぐらいに曲がるのが理想的な姿勢です。そうすると楽に腕が上がるし、筋肉が効率よく動かせるのですが、大体みんな猫背になっているか、お尻を前にずらして仰向けに近い形で座っていたりする。だから疲れるんですね。チェアの高さやモニターの位置を正しく調整するだけでも身体の負荷のかかり方が全く違うし、疲労感も大幅に軽減します。
感情の疲れというのはストレスから来るけれども、例えば姿勢が悪ければ肺がつぶれて呼吸が浅くなり、イライラしやすくなるということもあります。姿勢を正してゆっくりと深い呼吸をすればリラックスにつながります。ダラーッと過ごすことがリラックスにつながると思い込んでいる人がいるんですけど、そうじゃないんです***。
認知の疲れは知的活動や集中力の低下を招きます。これは食生活が影響していて、端的にいえば血糖値がコントロールできていないことが原因といえます。昼飯を食べて眠くなるのも、エナジードリンクを飲まずにいられないのも、血糖値のコントロールができてないから。1日働いても疲れない、集中力が途切れないための食生活の知識がある人は少ないのが実情です。
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