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ウェルビーイングでワークスタイルの質を高める

ニューズウィーク日本版 / 2016年5月26日 11時3分

 例えば、スタンディングデスクを全社的に導入した企業では、初日こそみんな興味津々で使うけれども、翌日からほとんど使われなくなったと聞きました。人って慣れるんですよね。与えられたワクワクというものは持続しない。

 それよりも内面から湧き出るワクワクにいかに身をゆだねられるか。街なかで子どもたちを見ていると、酷暑だろうが何だろうが階段を駆け上がっていくわけですよ。階段を駆け上がることが無性に楽しいんですね。僕も見習って試してみたら、これがまた楽しくて(笑)。強度の高い活動をすると脳って楽しくなるんです。「暑い」と言って、ゆっくり動いているから余計に疲れてしまうんだろうと気が付きました。

 それ以来、階段を駆け上るようにしたら今度は足の筋肉が付いてきて、走ることが苦ではなくなってきました。心も体も軽い、まさに毎日がウェルビーイングです(笑)。小さなことから改善していくことが大きな成果につながるんですね。これはまさに僕の実感から導き出された1つの解なんです。

WEB限定コンテンツ
(2015.9.9 渋谷区の石川氏オフィスにて取材)

※インタビュー後編:オフィスのウェルビーイングはすぐ始められる!

石川氏が共同創業者の株式会社キャンサースキャンは、ソーシャルマーケティング、調査・研究、データ解析などを通じた行動科学に基づく手法で社会や医療の問題の解決を図る。
https://cancerscan.jp/


石川氏が共同創業者/副社長を務める株式会社 Campus for H は、企業、組織の健康づくり・生産性向上に関する調査・研究や、関連するサービスの開発・販売とコンサルテーションを行っている。
http://campus-h.com/


* ウェルビーイング
もともとは国際保健会議で採択されたWHO憲章の言葉で、「身体的・精神的・社会的に良好な状態」を指す。現在では「ワーカーにとって心身ともに負担の少ない環境を提供することで企業価値を高める手段」としても注目されている。

** ポジティブ心理学の創始者の1人である、ペンシルベニア大学のマーティン・セリグマン教授は「快楽」「意味」「没頭」の3要素を揃えることで幸福を最大化できるとしている。

*** 石川氏によれば、飲食店でも顧客の疲れ=ニーズに応じてメニューを変えているところがあるという。「肉体労働で体が疲れている人に提供する料理は、ボリューム重視ですよね。でも脳や目が疲れている人には、より色が鮮やかに見えるようにしたり、『脂や糖』よりも『うまみ』をやや強くして、ほっとする感覚を脳に届けているんです。フレンチで活躍されている日本人シェフは東京とニースで同じレシピでも味付けを変えているそうです」

**** 快適なオフィス環境というと、天然光が差し込む窓辺や、カフェスペースの設置といった心地よさの演出に目が向きがちだが、やがて馴化を招くためウェルビーイングにはつながりにくいと石川氏は見ている。


石川善樹(いしかわ・よしき)予防医学研究者・医学博士。1981年、広島県生まれ。東京大学医学部を経て、米国ハーバード大学公衆衛生大学院修了。現在は株式会社キャンサースキャンおよび株式会社Campus for Hの共同創業者。ビジネスパーソン対象の講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター‎。


※当記事はWORKSIGHTの提供記事です




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