ウェルビーイングでワークスタイルの質を高める
ニューズウィーク日本版 / 2016年5月26日 11時3分
肉体、感情、認知のうち、何がどれだけ疲れているかを探って、ワーカーも企業も対策を講じなければいけません。疲労の原因が複雑になっている、そういう時代に僕らは生きているということと、疲れを取る対処法は案外簡単ですぐに実行できるということを、まずは知っておくことが重要だと思います。
パソコンの故障がウェルビーイングのきっかけに
ウェルビーイングを実現するためのヒントは意外なところに転がっているもので、僕個人のことで言えば、パソコンが壊れたことがきっかけで人生が変わりました。
数か月前、キーボードに水をこぼして使えなくなってしまったんですね。それで外付けキーボードを使ったら、パソコンを使うときの姿勢が劇的に変わったんです。それまで猫背気味になっていたのが、外付けキーボードを膝に置いて使うと、良い姿勢をキープして快適にパソコンと向き合えることに気づいたんです。ささやかなことですけど、僕にとっては人生の一大転換でした。
それからもう1つ。パソコンの新調にあたって改めて考えたんですよね、そもそも自分はパソコンで何がしたいのかと。まずしていることは書くこと、調べもの、それからメールやウェブサービスでのコミュニケーションといったところです。だけどコミュニケーションがちゃんとできているかと自問したら、来たメールにただ反応しているだけで、ご縁を大切にできていないと痛感しました。
さらに自問していったら、そもそも僕はパソコンと向き合いたいわけじゃないことに気づいたんです。大事なことは、研究者としてもっと発想を膨らませること。そのためには歩かないといけない。歩いて発想を膨らませて、それをキュッとまとめるために机の前に座るんです。でも歩く時間をこのところ本当に取っていなかったなと猛省して、思い切ってパソコンを閉じようと決めました****。
それでパソコンを持ち歩かなくても済むように自分の生活をコーディネートして、今年の夏以降、ものすごく歩くようになりました。今は1日1万5,000~2万歩ぐらい歩いています。これは大学時代、研究に没頭していたころに匹敵する距離です。
内面から湧き出るワクワクに身をゆだねる
僕らはどうしても昨日の習慣に引きずられて、流されて生きがちですけど、それを改めて見直してみるのは、自分の実感として勧めたいことです。イライラや疲れ、不安といったネガティブなものをいかにワクワクに変えられるのか。それがウェルビーイングの本質で、そのために環境を整えることが重要です。
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