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選挙の当落を左右する!? 味わい深き「疑問票」の世界

ニューズウィーク日本版 / 2016年6月14日 19時4分

(例:2014年の衆院選山口1区には、大物代議士の高村正彦候補〔自由民主党〕と、若手の高邑勉候補〔維新の党〕がいた。この選挙区で『高むら』『高ムラ』とだけ書かれた票は、案分の対象とされた)

明暗が分かれた疑問票の例

●『大つきか○ひ』と書かれた票が、大槻和弘候補への有効票に。この場合の「○」が他事記載かどうかが争われるも、選管や裁判所は他事記載に該当しないと判断している。(2015年、神奈川県相模原市議選/東京高裁2015年12月9日判決 [現在、上告中とみられる])

●『オカラ』と書かれた票を、町の選管は岡田和彦候補への有効票とした。オカラは「オカダの書き間違い」と判断したため。しかし、県の選管は無効と判断。「字の形から、ラとダを書き間違えたとは考えにくい」との理由。(2004年、鳥取県智頭町議補選/朝日新聞2004年10月15日朝刊ほか)



●『バンド ヒゲ』票が、口元に豊かなヒゲをたくわえた板東成光候補への有効票に。(2006年、香川県高松市議選/最高裁判所第二小法廷2007年2月23日決定)

●『オバマ』票は、尾花正啓候補の苗字の書き間違えとは認められず、無効に。(2014年、和歌山市長選/毎日新聞和歌山版 2014年12月12日)

●出馬に際し、選管に「初代タイガーマスク」を通称として届け出るも認められなかった佐山聡候補だったが、総務省は『タイガーマスク』と書かれた票を、同候補への有効票として扱う方針を発表。(2001年、参院選比例区/朝日新聞2001年7月25日朝刊)

●越谷市内の中川にも出現したアゴヒゲアザラシの「タマちゃん」フィーバーに沸いていた頃、『タマちゃん』と書かれた票が、正式に、玉生芳明候補への有効票に。ただし、『タマちゃん』の文字のそばに、アザラシっぽいイラストも添えられた票は、他事記載を理由に無効となった。(2003年、埼玉県越谷市議選/読売新聞2003年4月29日)

●世襲の候補が出馬すると、その親や先祖の氏名が多数投じられることがある。偉大だった政治家の支持者たちが、何らかの思いを込めて、あるいは単なる勘違いで書き記すのだろう。それらは非候補者への投票として全て無効となるわけだが、有効票とされた例もあった。昭和初期に大阪の大動脈となる道路、御堂筋を生み出すなどの功績があった元大阪市長の『関一』の氏名が書かれた疑問票が、その孫の候補者「関淳一」への有効票とされたのである。理由は、「"淳"の字を書き忘れたとみるのが相当」(2003年、大阪市長選/朝日新聞2005年11月21日夕刊)

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