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英EU離脱投票:暴走するワーキングクラスの怒り

ニューズウィーク日本版 / 2016年6月21日 16時15分

 ノッティンガムといえばダイハードなワーキングクラス地域として知られている。後者の大卒の若いボランティアたちは、昨年の党首選でジェレミー・コービンを熱烈に支持した若者たちの象徴だろう。コービンが昨年労働党党首選で奇跡の勝利を果たしたとき、この2つの層は再び同じ党首のもとに団結したように見えた。が、EU離脱問題でまたほころびが目立ち始めた。トインビーは電話で話した北部の労働党支持者たちから得た感触をこう書く。

「エリート」へのアンチ発言がさらに激しくなるだろう。アンチ議会、アンチ政治、彼らはもうデモクラシーに飽き飽きしている。

出典:Guardian:"Brexit supporters have unleashed furies even they can't control" by Polly Toynbee

 サッカーのW杯やユーロの開催時といえば、下層の街の家々の窓にびらびら聖ジョージ旗が下がる時期でもある。これでイングランド代表がまた例によって死闘の末に惜敗するような劇的な試合でもあれば、庶民の怒りと絶望は最高潮に達し、そのまま猛然とEUにファック・オフをかますんじゃないかとさえ思える。国民投票の投票権は一部の都市のインテリ層だけが握っているわけではないのだ。全国津々浦々で不満を抱えている庶民たちの方が数は多い。そのことを忘れ、政治家も有識者もストリートのムードを知ろうとしなかったからこそ、スコットランド独立投票であれほどパニックしたのではなかったか。

EUは労働者にやさしいのか

 これまで一般に、保守党支持者と比べて労働党支持者は残留支持が多いと言われ、残留を唱えるキャメロン首相は、実は労働党支持者の票をあてにしてきたとも言われてきた。

 実際、労働者はEUの規制に守られていたほうが権利を維持できるのだというのは労働者の街でも一般論だ。保守党政権は昨年の総選挙後、組合のストライキを困難にしようとしたり、組合から労働党への献金にも規制をかけようとしてきたからだ。

 EU懐疑派のコービンは、EUはデモクラティックな組織ではないとしながらも、「EUから抜けると保守党の労働者への締め付けに抑制が効かなくなる」と主張して残留を呼び掛けてきた。

コービンは、EUに残留することは「有給休暇や差別禁止の規制、産休、父親の育児休暇、そしてとりわけ環境保護」を守ることになると言う。

出典:BBC NEWS:"EU referendum: Vote Remain to protect workers' rights, says Corbyn"

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