英EU離脱投票:暴走するワーキングクラスの怒り
ニューズウィーク日本版 / 2016年6月21日 16時15分
だが、これに対する離脱派の反論は、「規制が少なくなればもっと雇用が創出される」「規制が必要かどうかは英国民が自分たちで決めるべき」だ。労働党では、議員の4%が離脱を支持しているにもかかわらず、党員となると44%が離脱を支持しているという調査結果もある。離脱派の労働党議員フランク・フィールドはこう書いている。
僕は労働党の同僚たちに、我が党の改革の歴史と英国民の良識にもっとプライドを持ってほしい。(中略)有給休暇から最低賃金まで、クレメント・アトリーやハロルド・ウィルソンやトニー・ブレアは、それらを実現するのにあたってEU官僚からの強制は必要なかった。英国の社会権は、幾度も世界を先駆けるものとなってきた。それに、保守党政権が我々の基本的な権利を侵そうとすれば、彼らは英国北部の街で支持を伸ばそうという野望を果たすことはできないだろうと僕は確信している。
出典:Guardian:"Brexit would help us control immigration. Like me, many Labour voters want out" by Frank Field
加え、わたしの周囲の中高年労働者がよく言っているのは「そんなにEUが労働者を保護するなら、どうしてギリシャやスペイン、ポルトガルでは50%近い若者が失業しているんだ」ということだ。「EUは労働者にやさしい」というレトリックは地べたの人々には説得力がない。
残るはやはり移民問題なのか
これは風向きが変わったなと感じたのは、潔癖左翼と呼ばれてきたジェレミー・コービンが「移民について心配するのはレイシストではない」と語ったときだった。
下層労働者が「移民が多すぎる」と言えば、左派は「レイシスト」と言って彼らの不安を頭ごなしに否定し、耳を貸さなかった。しかし伝統的には、こうした人々こそが労働党を支持してきた層だったのである。コービンはこう言った。
「劇的に、急激に変わるとコミュニティーの人々は当惑します。彼らはリトル・イングランダーではないし、外国人嫌いでもないし、レイシストでもない。地域に人々が増えれば、病院や学校や住宅にプレッシャーがかかる。それは移民のせいではありません。政府のせいです。2010年に政府はMigration Impact Fund(移民による影響の対策基金)を廃止しました。それは地方自治体が移民による短期的インパクトに耐えらえるよう配分される基金でした。この廃止により、政府はコミュニティーが移民に対応するための準備と投資を弱体化させたのです」
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