国民投票か、間接民主制か? 理想の選挙制度を探して
ニューズウィーク日本版 / 2016年6月30日 16時51分
【参考記事】参院選は7月11日生まれの「17歳」も投票できます
高齢になるほど投票に積極的な「シルバー民主主義」と揶揄されて久しい日本でも、このたび「18歳選挙権」が導入され、若年層の有権者が約240万人増加する。とはいえ、約1億人の有権者がいる国において、数や割合の上では、その実質的な影響力は限定的に留まるのかもしれない。
仮に日本で「ドメイン選挙方式」が導入されれば、0~17歳の国民である約1920万人(2016年6月速報値)へ権利が付与され、新たな票に転化される。いわゆる「シルバー民主主義」の現状に与えるインパクトは相当なものになるだろう。
ただ、日本国憲法では15条3項に「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」と明記されている以上、ドメイン選挙方式を日本で導入するには、憲法改正が必要となりそうだ。ここで「成年者による普通選挙」には、成年者が一定の未成年者の選挙権を代行する場合も含むと解釈するならば、憲法改正なしで導入することも正当化されうる。
選好投票制(優先順位式投票)
一度の選挙で投票できるのは、ひとつの候補者、ひとつの政党に限られる。ただ、自分の考えと100%一致する候補者や政党など、まずありえない。実際の有権者の意思は、「この候補者の、この政策とこの政策は賛成できるけど、これは勘弁してほしい」など、モザイクのように賛否が入り組んでいるのが、ごく普通であろう。
しかし、オーストラリアなどで導入されている「選好投票制」は、各候補者に優先順位を付けて投票するため、結果として当選者にも落選者にもまんべんなく影響力を及ぼす票をつくることができる。つまり、「死に票」が原理的に発生しないのである。
ただし、集計作業が繁雑になるのが弱点だ。電子投票との組み合わせで、集計負担を緩和することができるだろう。
民主主義は民を幸福にすることができないのか
筆者は今年、選挙や民主主義をテーマにしたライトノベル『東京ガールズ選挙(エレクション)――こじらせ系女子高生が生徒会長を目指したら』(ユーキャン・自由国民社)を出版させていただき、おかげさまで幅広い年齢層の読者から好評を博している。
その中で、着ぐるみパフォーマーとして活動しながら、主人公をサポートする19歳の男子が登場する。この男子には、とある身勝手な政治家のせいで、自分の家族が崩壊に追い込まれた過去があり、選挙や民主主義を全く信用していない。「いっそ、スーパーコンピュータが政治をやってくれたら、どんなにいいかと思うよ」(p.192)と、諦観混じりの望みをつぶやく場面がある。
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