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天皇陛下の「生前退位」に興味津々の英国──最も高齢の王位継承者チャールズ皇太子に道は開けるか?

ニューズウィーク日本版 / 2016年7月14日 21時0分

 陛下は「歴史を正しく記憶することの重要性を語っている」、「歴史の記憶は、皇室と日本の右派修正主義者たちが対立するトピックだ」。

 FTは、「戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」という陛下の発言を紹介している(注:記事にはどの発言かが示されていないが、昨年の新年のお言葉ではないかと思われる)。

国民から愛されている人物

 記事は最後に、陛下のこれまでの人生の経過を記している。

 第2次大戦で英国は勝利国の1つとなり、日本は敗戦国となった。戦時中の日本軍の残虐性や捕虜の扱いについての記憶は今も英国にありありと残る。

 しかし、現在の天皇陛下は戦時中の天皇であった父親とは一線を画す人物という認識が広がっており、陛下に何らかの責任を問う論調はもはやない。BBCもFTも国民から愛されている人物として報道しており、これが裏付けられたと言えよう。

──英国での「生前退位」の意味合い

 英国にとって、日本の天皇陛下の生前退位が非常に興味深いトピックとして浮上するのは、王室の継承問題とクロスするからだ。

 王室制度が長い英国では、元首は国王(あるいは女王)が亡くなった時に、王位継承権がもっとも近い人物に引き継がれる形をとる。

 生前退位の規定はなく、本人の意思によって引き継ぎは可能と言われるものの、ほとんど実例はない。ただし、1936年、国王エドワード8世が米国人女性と結婚するために在位1年弱で国王を退位した一件がある。

 エリザベス女王は4月21日に満90歳の誕生日をむかえた。6月11日が「公式誕生日」となっているため、生誕を祝うさまざまな祝賀行事が開催された。在位は64年を超え、歴代国王の最長記録を更新中だ。

 父親(ジョージ6世)が急死し、25歳で女王となったエリザベスは「英国民のために自分の生涯をささげます」と誓った。生きている間に退位するのは想定外だ。任務を途中で放棄することなど、ありえない。



 ここで当惑するのが長男のチャールズ皇太子(67歳)だ。母親が現役のため、いつ国王の座に就けるのか分からない。これまでで最も高齢で国王となったのは、1830年に即位したウィリアム4世だった。ウィリアム4世は64歳で即位したが、チャールズはこれを超えている。

 いつ国王になれるのかが大きな悩みの種となってきたチャールズにとって、近年、欧州の王室界で「希望」の光にも見える動きが出てきた。

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