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都知事に都議会の解散権はない......が、本当に解散は不可能か?

ニューズウィーク日本版 / 2016年7月17日 15時30分

 もちろん、この解散は憲法違反だとして大きな裁判にもなった。しかし、一国の総理大臣による高度に政治性のある判断に対し、むやみに司法が首を突っ込むべきではないとして、当時の最高裁判所は憲法判断を避けた。

 こうした出来事が既成事実となり、60年以上が経過した今でも、「衆議院解散権」という政治的駆け引きの武器が、歴代の総理大臣に連綿と引き継がれているのである。

 もっとも、内閣総理大臣は通常、衆議院議員でもある。衆議院の解散権は、自らの立場をなげうって、また候補者の立場から選挙をやりなおさねばならない「諸刃の剣」となっている。そのため、たとえ強力な権限だとしても、軽々しく行使できない歯止めがかかっており、何の法的根拠もないくせに、妙なバランスで保たれている。

 小池候補もこれを見習って、都知事に当選した暁には、地方自治法のいろんな条文をテクニカルに解釈しながら、「都議会の解散権」なるものを導き出してみてはいかがだろうか。その結果、どうなっても関知しませんけど。

[筆者]
長嶺超輝(ながみね・まさき)
ライター。法律や裁判などについてわかりやすく書くことを得意とする。1975年、長崎生まれ。3歳から熊本で育つ。九州大学法学部卒業後、弁護士を目指すも、司法試験に7年連続で不合格を喫した。2007年に刊行し、30万部超のベストセラーとなった『裁判官の爆笑お言葉集』(幻冬舎新書)の他、著書11冊。最新刊に『東京ガールズ選挙(エレクション)――こじらせ系女子高生が生徒会長を目指したら』(ユーキャン・自由国民社)。ブログ「Theみねラル!」


長嶺超輝(ライター)


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