1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

広告ブロック利用の急増に悩む新聞界──被害額は年218億ドルにも達する

ニューズウィーク日本版 / 2016年8月2日 16時0分

 ページフェアなどの調査によれば、欧州ではウェブ利用者の25%、米国では10%が利用中だ。日本は2%ほどと低い。欧州諸国の中ではドイツやフランスで比率が高い。

 消費者が広告ブロックを使う理由は「広告が目障り」、「個人情報が広告テクノロジーによって無限に共有されることへの懸念」、「ページの搭載時間(画面にコンテンツが表示されるまでの時間)が遅くなる」だった。



 広告ブロックの利用が広がれば、出版社にとってはデジタルの広告収入が減り、読者がフェイスブックやアップルなどの大手プラットフォーム上でニュースを読む傾向を加速させる可能性がある。フェイスブックはインスタント・アーティクルズを通じ、アップルはアップル・ニュースを通じて、それぞれのサービス内でニュースが直接読めるようにしてあるからだ。

 囲い込み化を歓迎するフェイスブックやアップルとは異なり、オープンなウェブ空間での広告収入に依存するグーグルにとって、広告ブロックは脅威だ。AdBlock Plusを提供するアイオー社にお金を払い、自社が提供する広告の一部を「ホワイトリスト化」(広告を遮断されないようにすること)する手段を取っている。

 広告主や「広告ネットワーク」(広告媒体のウェブサイトを多数集めて「広告配信ネットワーク」を形成し、その多数のサイト上で広告を配信する手法)にとっては望む対象者にリーチできなくなり、利用者からの情報を取得することもできなくなる。

 広告ブロック自体を遮断するソフトウェアや誰が広告ブロッカーを使っているかを調査するソフトウェアも販売されているが、WAN-IFRAは合法性に疑問を呈している。

出版社の対処方法は

 出版社にはいくつかの対処法がある。

 例えば「広告表示や搭載時間を向上させる」、「広告ブロックを利用する場合、閲読を有料で行ってもらうようにする」、「まだ広告ブロックがそれほど浸透していないモバイルでの閲読を勧める」など。記事と同じ体裁で制作・表示される広告、いわゆる「ネイティブ広告」も選択肢の1つだ。

 ノルウェーのヴェルデンス・ガング紙はウェブサイトの読者の中で、同紙のサイトをホワイトリスト化していない2万5000人に調査を試みた。48%が搭載時間が早まればホワイトリスト化を考慮する、47%が動く広告が無くなれば考慮する、28%がポップアップ広告が無くなれば考慮すると答えた。同紙は今後も、読者との対話を進めながらサイトの利用環境を向上させる予定だ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください