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【原爆投下】トルーマンの孫が語る謝罪と責任の意味(前編)

ニューズウィーク日本版 / 2016年8月6日 6時2分

 話すことはできる。祖父が大統領時代に使っていたキーウェストの保養地で毎年学術会議が行われており、14年のテーマは原爆だった。伝統的な歴史学者は原爆は戦争を終結させ、日米双方の多くの命を救ったと主張する。一方、歴史修正主義者は日本は既に負けたも同然で、原爆投下はソ連を威嚇するためだったと言う。(主催側である)われわれは当初、両陣営を交えた議論を想定していたが、会議の議長はこの議論をするといつも怒鳴り合いになるだけだと吐露していた。

 それこそが、このテーマの問題点だと思う。どちらか一方の極端な主張だけを採用すると誰も前に進めず、ただ怒鳴り合うだけだ。だから私は、(原爆投下が正しかったかという問いに)関わらないことにしている。



――あなたは何らかの結論に達したのではないでしょうか。ここでその内容を話してもらわなくてもいいですが。

(ため息をついて)同じことを言うようだが、本当のところを知ることはできないと思う。現実として原爆は落とされたのだから。そして、戦争は終わった。仮に私の祖父が「原爆は使わない」と言っていたら、あれほど早く戦争が終結したかは分からない。おそらく、とか多分という話しかできない。

 原爆が戦争終結を早めたことを示す、私がみるところ説得力のある証拠はある。それは、その反対(原爆を使っても戦争終結の時期は変わらなかったこと)を示す証拠よりも説得力があると思う。

 ただ私がこう話すときも、日本人や広島と長崎の人々への敬意を忘れているわけではない。結果をてんびんに掛ければ、原爆が戦争終結を早めたという説のほうが有力に見えると言っているだけだ。それも、本当のところは誰にも分からない。

――それでも、後から振り返って、原爆投下が正当だったか否かという議論はあるのではないでしょうか。

 原爆という爆弾を使ったことを正当化できるかどうか、か。あれは戦争だった。(連合国でも枢軸国でも)人々は市民を攻撃する行為を正当化できると思っていた。当時行われたことのすべてについて、多くの「正当化」がなされた。原爆ほど残虐なものはないと言う人もいるが、残虐な行為はほかにもたくさんあった。東京大空襲で放射能の被害はなかったが、死者数は広島に匹敵する。どれも最悪の出来事であり、どれも正当化することはできない。

――広島と長崎への初訪問の前後で、原爆への見方は変わりましたか。

 変わっていない。そこに行ったとき、私は原爆が戦争を終結させたか否か、正当な行為だったか否かについて語ることをやめた。

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