1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

カスタマーサポートでチャットボットの普及が見込まれる理由

ニューズウィーク日本版 / 2016年8月8日 17時20分

 また、シリコンバレーのスタートアップのWise.ioは、過去の顧客からの問い合わせ対応とその結果を元に、人工知能を用いてどの問い合わせを誰が担当すべきか判断し、対応の優先順位をつけて自動的に割り振るツールを提供しています。このように、カスタマーサービスに人工知能を導入しようとする動きは広くあります。

 現在はオペレータのサポートをしている人工知能が、将来的には顧客とのやりとりを直接するようになるというのは、現在の取り組みの延長線上にあります。

理由4. 企業のメリットが明確

 カスタマーサポートの導入は、カスタマーサポートが人から、チャットボットに置き換わることで、自動化によるコストの削減という非常に分かりやすいメリットがあります。 現在、いろいろなチャットボットが開発されていますが、どうやって収益を上げるかは実はまだ手探りの状態です。さらに最もユーザーの多いFacebook Messangerは、広告を送るチャットボットは規約で禁止しています。

 新しいプラットフォームをスパムや広告で汚さないためのルールですが、企業や開発者からすると開発のメリットが見えにくい状態です。カスタマーサポートは、開発のメリットが明確であるため、普及がしやすいのです。

理由5. 何度も同じやり取りを繰り返すため、データマイニングしやすい

 チャットボットでは、蓄積した会話ログを分析・活用することで、チャットボット自体の精度を改善することが大切です。カスタマーサポートは、何度も同じような問い合わせがきます。他の会話のシーンと比べて、同じような会話を繰り返しています。会話ログを分析することで、カスタマーサポートの方法を改善したり、データマイニングが行うことがやりやすい分野です。

 また、顧客は、丁寧に自分の問題を伝えたり、自分が抱える問題を正しく理解しているとは限りません。 簡単な例を考えると、「銀行の手数料を教えて欲しい」という質問が来た場合、曜日、同行間や他行、国際送金などの条件により大きく変わるため、一概に答えることはできません。 このような場合も膨大なログを分析すると、「銀行の手数料を教えて欲しい」と顧客が聞いている場合、どの条件に対してい聞いている可能性が高いかや、どのように返すのが最も顧客満足を高めることができるかを学んで改善することができます。



徐々に普及が期待される

 カスタマーサポートは、このようにチャットボットと相性がいいのですが、すぐに人間にとって変わることはありません。これまで述べたように、チャットボットの精度を人間との会話で全く不自由しないようにするまで高めるのはかなり大変です。このため、チャットボットが人間の書いた内容を理解できない場合や、適切な返答を見つけられない場合には、人間が代わりに返答する仕組みが採用されています。今の技術ではこれが現実です。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください