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GE流インダストリアル・インターネットで、デザインが重要な理由

ニューズウィーク日本版 / 2016年8月25日 16時38分

産業界の因習を変えていくために

 大きなメリットのあるインダストリアル・インターネットだが、実用化は簡単ではないとラウ氏は言う。

 理由の1つは産業界の歴史の長さだ。特に大規模な製造業は昔からある機械が多く、古いインフラがまだ現役で動いていることが少なくない。そうしたものをオンライン化していかねばならない。また多くの人にとっても、古いしきたりから抜け出すことには大きな努力が伴う。ユーザーである顧客に考え方を変えてもらうことが重要なのだ。

【参考記事】産業用IoT市場を制覇するのは中国? そのポテンシャルと落とし穴とは

 とはいえ、今この瞬間にも爆発的に、しかも膨大な量のデータが発生している。世界に現在存在するデータの90パーセントは過去2年間に生み出されたものとラウ氏は指摘する。全世界で日々、家電やウェアラブル機器、SNSなどがデータを生み出している。このとてつもなく膨大なデータをどう活用するか、賢く考えなければならない。

 エネルギー産業を例に挙げれば、200万マイル(320万キロメートル)ものパイプラインが世界中に敷設されている。そのうちの半分は1970年以前に敷設されたものだ。インダストリアル・インターネットを使えば、設備の状態やメンテナンスのタイミングも把握できるので、古いインフラからの流出事故を防ぐこともできるだろう。

 機械が発し、ソフトウェアが分析するデータを人類は賢く使っていく必要がある。データは他の人が担当するものだと考えるのではなく、自らの仕事の一部に位置付けなければならない。

 ちなみに、パイプライン3万マイルごとに17テラバイトのデータが生み出されるが、これは世界最大の図書館であるアメリカ議会図書館に収蔵された書物の総量より多い。データが増えればセキュリティの面でも、アクセシビリティの面でも課題が増えるが、ユーザーにとってパフォーマンスは重要な要素なので、デザイナーとしてデータの問題にも取り組んでいかねばならないとラウ氏は説く。



「Service Design Japan Conference 2016」(Service Design Network日本支部主催)が、2016年1月に横浜で開催された。ラウ氏はここでプレゼンテーションを行った。本稿はその内容をベースにしている。

インダストリアル・インターネットを実現するコ・クリエイションの手法

 GEでは、ラウ氏らデザイナーとデータ分析チームは密に連携しているという。データを深く掘り下げて、ユーザーにいかにスマートに有益な情報を提供することができるか、その方法を検討する必要があるからだ。したがって、現場に出向いて実際に仕事をしているユーザーへのリサーチは必要不可欠だ。

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